メディカルサポネット 編集部からのコメント日本医療機能評価機構は、総投与量の上限を超えて抗がん剤を投与したケースの報告があったことを明らかにしました。再発防止に向け、投与量を把握する地道なチェックが必要です。 |
日本医療機能評価機構は、医療機関で総投与量の上限を超えて抗がん剤を投与したケースの報告が2014年1月から18年5月までに2件あったことを明らかにした。患者が心筋障害を発症した事例があったことから、同機構の総合評価部会は、抗がん剤の総投与量を把握する仕組みづくりを医療機関内で検討するよう呼び掛けている。【越浦麻美】
同機構によると、報告のあった事例の1つでは、2年前に子宮体がんの再発で作用の異なる2種類の抗がん剤を組み合わせたAP療法を6コース実施した。ところが、1年後にがんが再発したため、腫瘍摘出術の後に、改めてAP療法を3コース実施。この時点で、抗がん剤のドキソルビシン塩酸塩の総投与量は470mg/平方メートルだった。
医師は、ドキソルビシン塩酸塩の総投与量の上限(500 mg/平方メートル)を認識していたが、患者の総投与量については正確な記録がなかったため、把握していなかった。さらにAP療法を6コース実施した後、患者が心筋障害を発症したため、その患者へのドキソルビシン塩酸塩の総投与量を調べたところ、620 mg/平方メートルだった。
こうした事例が発生した医療機関では、▽他院からの紹介状や患者からの情報などで過去の治療歴を確認し記録する▽電子カルテのシステムを改善し、医師が処方する時に添付文書の総投与量の上限を超えるとアラートが出る▽患者へ情報を提供するために、お薬手帳に総投与量を記載して説明する―などの対応を取っているという。
出典:医療介護CBニュース