2021.01.22
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21年度介護報酬改定について答申、改定内容明らかに―社会保障審議会

メディカルサポネット 編集部からのコメント

社会保障審議会は2021年度介護報酬改定について田村憲久厚生労働大臣に答申し改定内容が明らかになりました。全体で0.70%増となる21年度改定では全てのサービスで基本報酬の引き上げが実施されますが、このうち0.05%分は、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価として、21年4月から9月末までの間、基本報酬に0.1%の上乗せが行われるとのことです。

 

社会保障審議会は1月18日、2021年度介護報酬改定について田村憲久厚生労働大臣に答申した。介護医療院が長期入院患者を受け入れた場合の評価として新設する「長期療養生活移行加算」は1日60単位に決定。訪問看護は、算定率の伸び悩みが課題だった「看護体制強化加算」の要件を緩和する一方で、看護職員割合に関する要件を追加するなどして、リハビリ専門職による訪問看護に一定の制限をかける。今後、1カ月のパブリックコメント期間を経て、関係通知とともに正式公布する。

 

全体で0.70%増となる21年度改定では、全てのサービスで基本報酬の引き上げを実施(適正化対象の報酬を除く)。このうち0.05%分は、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価として、21年4月から9月末までの間、基本報酬に0.1%の上乗せを行う。

 

施設系サービスの改定項目をみると、介護医療院は医療が必要な要介護者の長期療養・生活施設としての機能強化が図られるよう、療養病床に1年以上入院していた患者を受け入れた場合の評価として、「長期療養生活移行加算」(60単位/日)を新設。算定期間は入所から90日間に限定する。介護医療院への転換促進策では、介護療養型医療施設に対して、半年ごとに移行計画の提出を求める仕組みを設け(初回の期限は21年9月末)、提出しない場合は次の期限までの間、基本報酬を1日10%減算する(移行計画未提出減算)。介護療養型医療施設は基本報酬の引き下げも実施。「移行定着支援加算」は予定通り、21年3月末をもって廃止する。

 

 

■老健の「かかりつけ医連携薬剤調整加算」、診療報酬に倣って再編

 

介護老人保健施設は、「かかりつけ医連携薬剤調整加算」について診療報酬を参考にした見直しを行う。入所・退所時におけるかかりつけ医との連携に対する評価(加算I=100単位)と、減薬に至った場合の評価(加算III=100単位)を分離。CHASEへデータ提出した場合の評価(加算II=240単位)も新設し、加算II、IIIは、加算Iの上乗せ評価として位置づける。

 

施設系サービス共通の見直し事項では、「口腔衛生管理体制加算」と「栄養マネジメント加算」を廃止。基本サービスに組み込み、栄養ケア・マネジメントを行わない場合は1日14単位を減算する(3年間の経過措置あり)。「低栄養リスク改善加算」も廃止するが、代わりに入所者全員への丁寧な栄養ケアの実施や体制強化を評価する「栄養マネジメント強化加算」(11単位/日)を新たに設ける。入所者の自立支援・重度化防止の取り組みを評価する「自立支援促進加算」(300単位/月)も新設する。

 

 

■主治医が認めた場合は退院・退所当日の訪看の算定が可能に

 

訪問看護は、退院・退所当日の算定に関する取り扱いを見直す。在宅での療養環境を早期に整えることを目的としており、現行の「特別管理加算」の対象者に加え、主治医が必要と認める場合も算定できるようにする。「看護体制強化加算」は、「特別管理加算」を算定した利用者の割合に関する要件を現在の30%以上から20%以上に緩和。これに伴って報酬単位は引き下げる。また、算定要件で新たに、訪問看護の提供にあたる従業員に占める看護職員の割合が6割以上であることを求め、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による訪問の1回当たり報酬を現在の297単位から293単位に下げる。

 

医師や薬剤師などによる居宅療養管理指導では、単一建物居住者の人数に応じた評価をサービス提供の状況や移動・滞在時間の効率性を考慮して見直し、1人および2~9人までの報酬単位を引き上げる一方で、10人以上は引き下げる。 

 

 

 

出典:Web医事新報

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