2020.09.16
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介護報酬、加算乱立に疑問の声 「複雑過ぎ」「理解が追いついてない」

メディカルサポネット 編集部からのコメント

利用者の自立支援・重度化防止の推進が議題となった社会保障審議会・介護給付費分科会で、介護報酬、加算乱立に疑問の声が相次ぎました。「複雑過ぎ」「理解が追いついてない」などの意見に対し厚生労働省の担当者は、「創設時の発想と現場の状況に乖離があり、思うような効果をあげていない加算があるのも事実」と説明し、「それぞれの加算の趣旨自体は大事。それを活かせるように改善できるものはしていきたい。どうしても現場に合わない、という加算があれば当然見直していく」と理解を求めました。

 

《 社保審・介護給付費分科会 14日 》

 

利用者の自立支援・重度化防止の推進が議題となった14日の社会保障審議会・介護給付費分科会 − 。委員からは、現場に取り組みを促す加算をどんどん増やしていく手法への異論も噴出した。【Joint編集部】

 

全国町村会の椎木巧副会長(周防大島町長)は、「加算は成果も出しているが、報酬体系が複雑になり過ぎている。特に小規模な事業所では、その全容を理解することが難しい」と指摘。「現場は人手が足りない。報酬体系の簡素化も必要ではないか」と促した。

 

日本介護福祉士会の藤野裕子副会長は、「制度が複雑化する中で、利用者や家族の理解が追いついているのか疑問に感じる」と持論を展開。「利用者の楽しみや生きがい、尊厳が担保されることが何より大切。事業所で加算の取得自体が目的化されてはならない」とも述べた。

 

第185回社会保障審議会介護給付費分科会資料

 

自立支援・重度化防止の推進は、来年4月の介護報酬改定をめぐる大きなテーマの1つ。厚生労働省はこのほか、感染症・災害への対応力強化や科学的介護の展開、現場の生産性向上なども重視しており、必要に応じて新たな加算の創設も検討する構えだ。既存の加算の取得率を高め、インセンティブとしてうまく機能させていくことも課題と位置付けている。

 

「今のような加算の仕組みが本当に必要なのか。本人・家族からすると、制度を複雑で分かりにくいものにしている。職員が書類の作成に追われている現状も見える」。

 

認知症の人と家族の会の鎌田松代理事はそう問題を提起。「加算で本当にサービスの質の向上が図れるのか疑問だ。制度創設から20年の今年、改めて見直すべき」と提言した。

 

厚労省の担当者はこうした意見に対し、「創設時の発想と現場の状況に乖離があり、なかなか思うような効果をあげていない加算があるのも事実」と説明した。そのうえで、「それぞれの加算の趣旨自体は大事なものだと思う。それを活かせるように改善できるものはしていきたい。どうしても現場に合わない、という加算があれば当然見直していく」と理解を求めた。

 

 

出典:JOINT

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