2020.09.16
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通所介護のADL維持加算、ようやく1000事業所が算定 要件緩和を求める声

メディカルサポネット 編集部からのコメント

利用者の自立支援・重度化防止につながるサービスの展開を現場に促すインセンティブ「通所介護のADL維持等加算」について、算定している事業所が1024カ所になったことが分かりました。多くの利用者のADLを維持、改善させた事業所がリターンを得る仕組みになっていますが、リターンが小さく、事業者からは「割に合わない」「ハードルが高い」「複雑すぎる」といった不満の声が挙がっています。多くの関係者がADL維持等加算の単価を引き上げるべきと主張していますが、どこまで具体化されるかは不透明です。

 

《 社保審・介護給付費分科会 14日 》

 

2018年度から通所介護の報酬体系へ新たに組み込んだ「ADL維持等加算」について、厚生労働省は14日、今年4月のサービス提供分で算定している事業所が1024ヵ所になったと明らかにした。【青木太志】

 

1000ヵ所を超えたと報告するのは初めて。来年4月の改定に向けた検討を進めている審議会にデータを提示した。

 

通所介護、地域密着型通所介護の事業所全体に占める割合は2.38%。1.49%だった1年前(昨年4月サービス提供分)からは上昇しているものの、依然として取り組みが広がっていないのが実情だ。

 

第185回社会保障審議会介護給付費分科会資料

 

通所介護のADL維持等加算は、利用者の自立支援・重度化防止につながるサービスの展開を現場に促すインセンティブ。多くの利用者のADLを維持、改善させた事業所がリターンを得る仕組みだ。

 

ただし、そのリターンは利用者1人あたり最大6単位/月と小さい。加えてクリアすべき要件も多く(*)、事業者からは「割に合わない」「ハードルが高い」「複雑すぎる」といった不満の声が少なからず上がっている。算定率が低調に推移している理由だ。

 

* 例えば、5時間以上のサービスの回数が5時間未満の回数より多い利用者を対象とすること、要介護3以上の利用者が15%以上含まれること、初回の要介護認定から1年以内の利用者が15%以下であること、などが定められている。

 

これまでの議論のプロセスでは、多くの関係者がADL維持等加算の単価を引き上げるべきと主張。どこまで具体化されるかは不透明だが、これは既に審議会のコンセンサスとして認識され始めている。

 

この日の会合では、通所介護などの経営者で組織する団体が要件の見直しを注文した。

 

民間介護事業推進委員会の今井準幸代表委員は、初回の要介護認定から1年以内の利用者の割合、要介護3以上の利用者の割合に関する要件がネックになっていると指摘。取り組みを広げるために緩和すべきだと要請した。

 

一方で、クリームスキミングの問題が顕在化する懸念が強いとの反論も噴出。厚労省は年内に具体策を決める予定だが、要件緩和は小幅に留めるとの観測も出ている。

 

 

出典:JOINT

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