2020.08.12
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【識者の眼】「診療看護師が外来診療に果たす役割は大きい」小田倉弘典

メディカルサポネット 編集部からのコメント

看護職でありながらより医師サイドにたった診療を一定の制限で行える「診療看護師(Nurse Practitioner:NP)」は、日本NP教育大学院協議会認定の大学院修士課程を修了し、NP資格認定試験に合格した看護師のことで、治療方針などを的確に理解し、治療と看護の両方の側面から患者さんと家族に関わります。小田倉弘典氏が院長を務める土橋内科医院では2019年4月からNPが外来の1ブースを担当しています。導入の半年後に通院患者450人に対して行ったアンケート調査からNPが果たす役割の大きさが分かったとして、タスクシェアの発展に期待を寄せています。

 

チーム医療の重要性が広く認識されているが、診療所の外来診療における看護師の役割は、簡単な診療補助や採血など一部に限られている面は否めない。しかしながら地域包括ケア推進の流れとともに、診療所看護師が担う役割が大きく変化してきている1)

 

待合室や処置室で、患者さんが看護師と生き生きと会話をしていたり、診察室では知り得ないような病状や生活情報が得られることは、多くの医師が経験することであろう。また短時間診療になりやすい外来にあって、問診や身体診察といったタスクを共有できれば、待ち時間短縮や医師の負担軽減に繋がる可能性もある。

 

こうした期待のもと、当院では2019年4月から日本NP教育大学院協議会認定の大学院修士課程を修了し、NP資格認定試験に合格した診療看護師(NP)が、外来の1ブースを担当することにした。主に高齢で心理社会的問題を抱えた患者さんについてまずNPが問診身体診察を行い、その後医師が入って対話や治療決定を勧めていくというスタイルである。導入後半年を経た昨年10〜12月に、当院通院患者450名に対しアンケート調査を施行したところ、NPの診療について「満足」と答えた方は71.9%であった。理由として「話をしっかり聞いてくれる」「医師と看護師の両方から見てもらえる」といった声が多かった。「待ち時間が短くなった」との声は30.0%であった。一方、将来的にNPがある程度の治療方針を決定することについては「どちらとも言えない」が38.5%と最多であった。

 

NPは一定の医学的知識のみならず、患者さんの生活を診る視点が養われており、患者側から見ても接しやすく、また医師との共同診療が患者に与える安心感は非常に大きいと感じている。待ち時間短縮、私自身の負担の軽減も効果も大きい。

 

認知度や権限に関して議論も多いと思われるが、今後NPを含む看護師とのタスクシェアが診療所外来においても発展していくことを期待したい。

 

【文献】

1)石橋幸滋:医事新報. 2020;5018:65.

 

小田倉弘典(土橋内科医院院長)[多職種連携・協働][診療看護師]

 

 

出典:Web医事新報

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