2019.09.24
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複数医療機関での勤務時間の通算「慎重に」―日医・松本常任理事

メディカルサポネット 編集部からのコメント

18日に日本医師会の松本吉郎常任理事は、「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」の報告書を受けて、「医師の副業・兼業は自由意志ではなく地域医療を守るために行っているため、宿日直、手術、災害医療、研究などのために複数医療機関で勤務する医師の労働時間をカウントすると、連続勤務時間制限や勤務間インターバルの遵守が困難になり、地域の医療機関で救急医療のための当直医の確保が難しくなる」との見解を示しました。医師の健康確保への取り組みと地域医療の継続性を両立させた労働時間管理の在り方が求められます。

 

日本医師会の松本吉郎常任理事は9月18日の会見で、医師の労働時間管理に関して、「複数医療機関での勤務時間を安易に通算することについて、当面は慎重にならざるをえない」との考えを示した。

 

厚生労働省の「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」が8月にとりまとめた報告書を受けて発言した。報告書は全業種を対象とし、複数事業者間で勤務した場合、「労働者の自己申告を前提に、各事業者が通算した労働時間の状況を把握する」など、労働時間の管理方法として考えられる選択肢を例示している。

 

松本氏は医師の働き方について、宿日直、手術、災害医療、研究などのために複数医療機関で勤務するケースが多いことを説明。「一般的な働き方とは根本的に異なり、自由意思ではなく地域医療を守るために行っている」とし、「まさに特殊な事情だ」と強調した。

 

具体的には、労働時間の通算によって連続勤務時間制限や勤務間インターバルの遵守が困難になり、「地域の医療機関で救急医療のための当直医の確保が難しくなる」と問題視。「地域医療にひずみが生じ、結果的に患者が困る」との懸念を表明した。

 

その上で松本氏は、「医師の副業・兼業については、医師の健康確保への取り組みと地域医療の継続性の両方を見据えた着地点を模索していく必要がある」とした。

  

日松本吉郎常任理事

松本吉郎常任理事

 出典:Web医事新報

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