2019.04.22
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健保連、19年度に986億円赤字の見込み
赤字幅縮小も3年後に「2022年危機」

メディカルサポネット 編集部からのコメント

国内の少子高齢化が進むなか、団塊世代の後期高齢者(75歳以上)入りと現役世代の減少による「2022 年危機」が迫ってきました。健康増進を含め、保険者機能を発揮する健保組合の役割が重要になります。健康保険組合連合会は4月22日、「平成31年度健保組合予算早期集計結果」と『2022年危機』に向けた見通し等について」を発表しました。

  

 健康保険組合連合会は22日、2019年度の経常収支が1388組合全体で986億円の赤字になる見通しだと発表した。同年度から21年度にかけて75歳以上人口の増加が一時的に鈍化するほか、大規模組合の解散の影響で高齢者医療への拠出金が前年度比525億円(1.5%)減少し、赤字幅は前年度の1357億円から371億円縮小する。ただ、「団塊の世代」が75歳以上に入り始める22年以降は拠出金の急増が見込まれる上、現役世代の減少が進む。健保連では、それによって保険料率の引き上げを迫られる組合が増え、解散のリスクが一層高まるとみている。河本滋史常務理事は同日の記者会見で、「2022年危機」への早急な対応が必要不可欠だと訴えた。【兼松昭夫】

 

 

 健保連がこの日公表した19年度予算の早期集計(概要)によると、同年度の保険料収入は前年度比74億円(0.09%)増の8兆1132億円。これに対して支出は、健康保険法に基づく「法定給付費」が57億円(0.14%)増の4兆1449億円など。高齢者医療への拠出額は525億円(1.5%)減の3兆4435億円で、同年度に赤字が見込まれるのは5組合減の856組合(全体の61.7%)となった。

 

 ただ、1388組合全体での平均保険料率は0.011ポイント上昇し、過去最高の9.218%となった。平均保険料率が上昇するのは12年連続。回答があった組合の22.1%に当たる302組合では保険料率が10%以上で、協会けんぽの平均保険料率10%(19年度)並みか、それを上回った。保険料率が10%を超えると協会けんぽに移行した方が加入者の負担が小さくなるため、この水準が解散に踏み切る目安の一つとされる。

 

 健保連がこの日明らかにした推計によると、3年後の22年度には、高齢者医療拠出金が3兆9343億円(19年度比4908億円増)に膨らみ平均保険料率は9.8%まで上昇する。75歳以上人口の急増が始まる上、現役世代の減少も進むためで、健保連では、同年度の保険料率が全組合の4割超で10%以上になるとみている。

 

 河本常務理事は会見で、「危機的な状況。保険料率の引き上げを余儀なくされ、このままだと(現役世代の)さらなる負担増が想定される」と述べた。

 

 出典:医療介護CBニュース

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