2020.05.26
5

新型コロナ対策にワイヤレス聴診を導入
シェアメディカルと豊田地域医療センターなどが協力

公益財団法人豊田地域医療センター(愛知県)の外来で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の疑いのある患者の診察に、デジタル聴診デバイス「ネクステート®」が活用されています。豊田地域医療センターではネクステート®を患者自ら胸部に当てて、ビニールカーテン越しに医師がワイヤレスヘッドフォンで心音を聞いて診察を行い、飛沫感染リスクを下げています。
 
取材・文/メディカルサポネット編集部

5月18日、ネクステート®を開発し、遠隔聴診システムの特許を持つ株式会社シェアメディカル、公益財団法人豊田地域医療センター、エヌ・ティ・ティ・スマートコネクト株式会社が同医療センターの外来時の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の疑い患者の診察に、デジタル聴診デバイス「ネクステート®」と次世代遠隔診療システムを活用することで合意しました。

聴診器デジタル化ユニット「ネクステート®」とは?

ネクステートの写真
デジタル聴診デバイス「ネクステート」は、既存の聴診器(チェストピース)に後付することで、心音や呼吸音の聞き取りの改善、音量の増幅ができるデバイス。ワイヤレス化でき、市販のヘッドフォンやスピーカーを接続させることも可能。

  

現在、多くの医療施設では、疑い患者を診察するときに高機能マスクや防護服を着用して診察を行っていますが、防護服の着脱に時間がかかることやガウンなどの医療物資の不足が課題となっていました。 ネクステート®にはBluetooth無線通信機能が内蔵されており、市販のヘッドフォンやスピーカーなどをつなぐことで約10m離れてもワイヤレスで聴診できます。本体をビニール袋に入れることで容易な消毒ができ、聴診器を介した感染拡大を防止する効果もあります。

  

 

豊田地域医療センターでは現在、発熱患者に対し、アクリル板越しに問診、診察を行っています。アクリル板越しであれば感染のリスクは低く、手袋やフェイスシールドなどの感染防護具は不要となり、さらにネクステート®を活用することで問診から聴診までもアクリル板越しで完結できます。

 

同センターの近藤敬太医師は、「今後は当院で行っている在宅診療などにも活用し、医師や看護師の診療を補助してくれる遠隔診療への応用も可能となるでしょう。ルネ・ラエンネックが聴診器を世に生み出してから約200年、聴診器は進化を迎える時が来ました。COVID-19によりその役割は更に進化し、これからの新しい時代の医療を創っていくのだろう」と話しています。

 

  

シェアメディカルの峯啓真代表は、今回導入された技術を生かし、施設内の別室や別棟から行う「院内円滑診療」への活用も検討していると明かします。

 

withコロナの時代において、患者の医療アクセスと医療者の安全を守る診察が可能となるよう次世代遠隔診療システムのさらなる活用が期待されます。

 

 

メディカルサポネット編集部

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP