2020.04.09
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新型コロナウイルス感染症拡大による医療現場の今
~日本看護協会記者会見より~

新型コロナウィルス感染症拡大による医療現場への影響を受けて、日本看護協会は4月3日、記者会見を開きました。福井トシ子会長は、会見で看護職が激務に置かれている状況や、国民に向けて医療従事者への理解促進を求めました。メディカルサポネットでは、会見で福井会長が述べたことの要点をまとめました。
 
編集・構成/メディカルサポネット編集部

身体も心も疲弊する現場の看護職たち

会見する日本看護協会 福井トシ子会長(日本看護協会記者会見動画より)

  

福井会長は、新型コロナウイルス感染症患者の看護に従事する看護職が疲弊している現状を「事例紹介」として説明しました。

以下はとある病院の、約50床の呼吸器専門病棟で勤務する看護師が置かれている状況です。

2月の中旬頃から約10人の新型コロナウイルス感染症の患者が入院している。スタッフは看護師と看護補助者で30人。新型コロナウイルス感染症の患者を担当するのは約10名の選抜された看護師で、全員配偶者や子供のいない1人暮らしの独身者です。
1ヵ月半以上過ぎても終わりがみえない。自分自身が感染している可能性があり、不安で精神的身体的にも疲弊して限界である。このままでは離職者がでる。
不安を共有できて安心して仕事ができるような体制がほしい。

 

このような状況下で看護職は働いているのです。

 

ストレスフルな勤務環境が看護職にもたらす影響

  

今後の見通しが立たない看護職は、このようなストレスフルな状況で交代勤務を行っています。

ご紹介した病棟のように、30人のスタッフで約50人の患者さんに対応するには3人夜勤のシフトが精いっぱいです。2人夜勤の日も作らなければならないでしょう。50人の入院患者さんを夜勤では2人でみるということ、皆さんイメージできるでしょうか。

 

こういった交代勤務を行っている現状は、看護職の免疫力低下を招き、感染しやすい状況を作っていきます。それは看護職の自己管理が悪いからではなく、環境がそうさせているということになります。 これらの影響を考慮しながら、新型コロナウイルス感染症に対応する看護職へのサポート体制を構築していくことが重要であると考えております。

 

不足する看護職とそれによって及ぼされる影響

看護職の不足も喫緊の課題です。もともと2:1の看護配置(患者さん2人に看護師1人)をしていた病院が、新型コロナウイルス感染症拡大により、人工呼吸器やECMOを装着した患者さんが増加し、これに対応するには1:4の看護配置(患者1人に看護師4人)が必要となり、通常の4倍の人員を集めなければなりません。

 

また、これはあまり報道されていませんが、新型コロナウイルス感染症の患者さんを担当していない看護職にも多大な業務負荷がかかっています。病院に入院している大半の患者さんは新型コロナウイルス感染症以外の患者さんなのです。

  

看護職が立ち向かう「3つの感染症」

新型コロナウイルスは私たちの生命を脅かしています。また、病気を引き起こすだけでなく、未知のウイルスは不安をかりたて、ウイルスを連想させるものへの嫌悪・差別・偏見を生み出し、また、人と人との連帯感や信頼感を破壊します。

  

日本赤十字社が作成した「新型コロナウイルス感染症に対応する職員のためのサポートガイド」から引用すると、私たちは新型コロナウイルス感染症によって3つの感染症を引き起こすことを学びました。

  

・第1の感染症は「生物学的感染症」で、ウイルスによって引き起こされる疾病そのもの

・第2の感染症は「心理学的感染症」で、見えないこと、治療法が確立されていないことによる強い不安や恐れを感じること

・第3の感染症は「社会学的感染症」で、不安や恐怖が生み出す嫌悪・差別・偏見が行動となって現れること

 

新型コロナウイルス感染症(COVID 19 )に対応する職員のためのサポートガイド(2020年3月25日)

  

誰もがこの3つの感染症の影響を受けていますが、その影響を最も強くうけるのが看護職です。365日・24時間ずっとベッドサイドにずっといるのが看護職です。このことをぜひご理解いただきたく思います。

  

なお、記者会見の動画は日本看護協会のホームページよりご覧いただけます。

4月7日には、TBSテレビ「NEWS23」に生出演し、医療現場の状況や、看護職をサポートすることの必要性について、改めて訴えました。

 

メディカルサポネットでは、新型コロナウイルス感染症の現場に従事する皆さんのリアルな現状を今後もお伝えしていきます。

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