2020.10.19
5

介護ソフト“CareViewer”の操作性がさらに進化
日本KAIGOソフト×Chatworkのコラボ強化

日本KAIGOソフト株式会社が開発・販売する“CareViewer”は、ケアプランの原案をAI(人工知能)で自動生成したり、介護記録をデジタルで作成したりできる介護ソフト。ビジネスチャットツール“Chatwork”(Chatwork株式会社)と連携した機能が大きな特徴の一つですが、2020年5月にさらなる進化を遂げました。パワーアップしたCareViewerの魅力を、現場の声とともにお届けします。

取材・文/中澤 仁美(ナレッジリング)
編集/メディカルサポネット編集部

コロナ禍だからこそ必要とされる新たな機能とは?

CareViewer×Chatwork のコラボレーションが始まったのは2019年のことでした。Chatwork社で営業などを担当する廣瀬和桂さんが、日本KAIGOソフトへ声をかけたのが始まりです。「介護事業所の中には『記録や事務処理に時間がかかりすぎる』『情報が膨大でリアルタイムでの共有が難しい』と悩んでいるところも少なくありません。そこで、介護業界ならではの特性を踏まえた業務効率化を実現するため、この領域に精通した日本KAIGOソフトさんに相談させていただいたのです」(廣瀬さん)。

 

CareViewer×ChatworkのきっかけをつくったChatwork株式会社の事業推進本部
セールス部
カウントセールス第1チーム、廣瀬和桂さん

    

日本KAIGOソフトはこれを快諾。介護現場のペーパーレス化を主眼に開発されたCareViewerに、グループチャットで情報を即時共有できるようにするなど、スタッフ向けの機能を組み込んでいきました。

 

今回、両社が連携強化へ踏み切ったきっかけは、新型コロナウイルスの蔓延でした。多くの介護事業所で面会制限が実施されたことで、利用者さんのご家族からは「状況が分からず不安」という声が多く聞かれ、ご家族と会えなくなった利用者さんの認知機能やADLの低下も懸念されるようになりました。また、サービス担当者会議なども実施しづらくなり、記録や情報共有がこれまで以上に難しくなってしまったのです。

 

そこで、2020年5月、従来のCareViewerにあった「1事業所につき1室まで」という制限を取り払い、利用者さんや目的ごとに複数のグループチャットが作成可能になりました。管理者権限がないメンバーでもグループチャットを作れるようにしたことで、自由度も高まりました。また、CareViewerで記録された写真を各グループチャットで共有できるようになり、文字だけでは伝え切れなかったリアルな利用者さんの姿を簡単にご家族や他職種へ伝えられるようになりました。Chatworkのビデオ/音声通話機能も併せて活用することで、制約の多いコロナ禍の状況にあっても多様なコミュニケーションができるようになったとのことです。

 

 ビジネスチャットツール「Chatwork」と連携強化した介護ソフト「CareViewer」を担う本KAIGOソフトのメンバー

 

ご家族もスタッフも「大満足!」な介護ソフトに

介護に関わる人々の情報共有や交流を促進するツールとして、さらに魅力を増したCareViewer。ケアマネジメント管理(利用者情報の初期登録、アセスメント表やケアプランの作成、モニタリング情報の更新など)はPCのウェブブラウザ経由で、日常的な記録は専用アプリをダウンロードしたスマートフォンやタブレットで行われるケースが多いそうです(PCで記録を付けることも可能)。

 

日本KAIGOソフトの取締役兼CTOである福原亮さんは、次のように説明してくれました。「記録された内容は時系列に沿って一覧表示され、利用者さんの一日の動きが一目で分かるようになっています。そのほか、食事やレクリエーションを楽しむ利用者さんの様子なども写真で保存し、グループチャットからご家族や他職種へ共有することができます」。

  

こうした機能に対して、現場からも好評の声が寄せられています。日本KAIGOソフトのグループ会社が運営するグループホーム「満快のふる郷 さくら東苗穂」で介護職員として働く柴田悠理さんは、次のように語ってくれました。「最初は不慣れなビデオ通話やデジタル機器の操作に不安そうだったご家族からも、『直接は会えなくても、こうして話したり様子を教えてもらえたりすることで、大きな安心感を得られました』といった声が多いです」。

 

また、入力補助機能が充実しているため、記録業務が大幅にスピードアップする点も見逃せません。「満快のふる郷 さくら東苗穂」では、従来は記録に1時間~1時間半程度かかっていましたが、平均20分程度まで短縮されたというから驚きです。「CareViewerでの記録に切り替えて驚いたのは、紙への記入と違って視線を落とさずに済み、場所も選ばないので、他の業務の合間にサッと入力できる場面が増えたこと。終業間際に一日の出来事を思い出しながら必死に文章を考える……という苦労がなくなりました」(柴田さん)。

  

日本KAIGOソフトでCareViewerの開発にあたる台湾出身の欧陽兪さん(左)と

「満快のふる郷 さくら東苗穂」でCareViewerを使って働く介護職員の柴田悠理さん  

 

もっとスマート化された介護現場をめざして

こうした現場のニーズに即したサービスが展開できる背景には、日本KAIGOソフトと「満快のふる郷 さくら東苗穂」が同じ建物内にあり、スピーディーな情報交換ができる点も大きいでしょう。「介護スタッフのリアルな声を改良に生かした一例が、アプリ版のタッチ領域の拡大です。動き回りながら入力するケースが多いので、特に年齢を重ねたスタッフは細かな作業が難しいことが分かりました。当初と比べて指でタッチしたときに反応するエリアを3倍程度に拡大したところ、以前より使いやすくなったと好評でした」(CareViewer開発担当の欧陽兪さん)。

 

記録を紙ベースで行う介護事業所はまだまだ多いのが現状ですが、デジタル化を避けて通ることはできないでしょう。Chatwork社の執行役員CSO兼事業推進本部長である福田升二さんは、次のように語ってくれました。「日本の社会を支える基盤ともいえる医療・介護業界ですが、非効率的な働き方のために問題が起こっている現場が多いようです。それが結果的に、人材不足にもつながっているのではないでしょうか。『この課題はChatworkの機能をこう使えば解決できます』と一歩踏み込んだ提案をすることで、業界のデジタル化を後押ししていきたいです」。

 

「介護業界のデジタル化を後押ししたい」と話すChatwork社の執行役員CSO兼事業推進本部長の福田升二さん

  

日本KAIGOソフトの代表を務める中元秀昭さんは、最終的には紙ベースの記録をなくし、「ポケットにスマートフォンが1台あればOK」という現場環境の創出をめざしているといいます。「デジタル化することで必要に応じて情報を取り出しやすくなり、介護スタッフの『英知』が詰まった記録をフル活用できます。また、記録時間の短縮により、利用者さんと向き合うことにより力を注げるようになるはず。業務のあり方を洗練させることで、介護現場そのものを『スマート化』する一助になりたいと考えています」。

 

  日本KAIGOソフト株式会社の代表を務める中元秀昭さん

 

日本KAIGOソフト株式会社

住所:北海道札幌市東区東苗穂5条2丁目9-28 
URL:https://www.japan-kaigosoft.com/

日本KAIGOソフト株式会社は、札幌市を中心に介護サービス事業などを行うさくらCSホールディングスグループに属し、地域福祉社会の発展と高齢化社会の進展に貢献している。同グループの6大事業(介護・福祉サービス事業、教育研修事業、ものづくり事業、子育て支援事業、海外事業、人材サービス事業)のうち、ものづくり事業を担う。「KAIGOの次への挑戦」をテーマに、介護現場の働き方改革として、AI・IoT等最新テクノロジー搭載の介護アプリを開発し、KAIGOのグローバルスタンダードを目指している。

ユアクリニック秋葉原ロゴ

Chatwork株式会社

住所:(本社)大阪府大阪市北区梅田 2-6-20-5F  
URL:https://go.chatwork.com/ja/

「働くをもっと楽しく、創造的に」をコーポレートミッションとして掲げるChatwork株式会社は、国内利用者数No.1*のビジネスチャット「Chatwork」の提供を主力事業として展開している。「Chatwork」は、民間企業、教育機関、官公庁など285,000社以上に導入され(2020年9月末日時点)、各組織の生産性向上やコミュニケーション活性化に貢献している。

*Nielsen NetView および Nielsen Mobile NetView 2020年6月度調べ月次利用者(MAU:Monthly Active User)調査。調査対象44サービスはChatwork株式会社にて選定。



この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP