2021.09.13
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【最終回】医療機関で人事を行う管理職にとって大切な3つの視点

裵英洙のマネジメントのちから~人事で悩むあなたへ~
vol.12

 

編集部より

医師で、医療機関コンサルティング会社、ハイズ株式会社代表の裵 英洙(ハイエイシュ)さんの連載「マネジメントのちから~人事で悩むあなたへ~」の第12回目。裵さんは勤務医時代に病院におけるマネジメントの必要性を痛感したことから、10年ほどの勤務医経験を経て、慶應義塾大学院経営管理研究科(慶應ビジネススクール)でMBA(経営学修士)を取得し、現在は各地の病院の経営アドバイザーとして活躍しています。病院経営で重要な「人事」を切り口に、組織マネジメントのポイントを毎月お伝えします。最終回となる今回は、医療機関で人事関連のマネジメントを担う管理職は、どのような視点を持って日々のマネジメントに取り組めばいいのか、という問いに裵さんがお答えします。多くの”人財”が働く医療機関において、人事の重要性は非常に高いものだと指摘する裵さん。「人事が医療機関の未来をつくる」という言葉に集約されるように、安定した経営のためには人事をおろそかにすることはできないことを改めて考えさせられます。

  

執筆/裵 英洙(ハイズ株式会社 代表取締役社長)

編集/メディカルサポネット編集部


いよいよ本連載も最終回となりました。これまで様々な視点から人事・人材に関するマネジメントについてお話してきました。最終回は、医療機関での人事に関わる管理職にとって、人事のエッセンスについて3つの視点からまとめてみましょう。

 

 

   

1.人事は経営そのものである

医療機関を含む企業は、経営資源を日々の事業活動へ投入して永続的な活動を目指す存在です。医療機関が保有する経営資源には、「お金」「建物・医療機器などの固定資産」「医薬品・医療消耗品等の材料」「取引先」「連携先」「患者情報」そして「労働力」などがあります。いわゆる、経営4資源の「ヒト・モノ・カネ・情報」に分類されます。特に、医療機関では人件費率が5割以上を占めることが多く、ヒトをいかに有効活用するかがその医療経営の巧緻を決定します。

 

 

つまり、人事とは“ヒト”という医療機関での極めて重要な経営資源を最大限に有効活用するための機能と言っても過言ではないのです。優秀な医療職を採用できたり、育てたりできる医療機関はそれだけでアクシデントやミスが少なく、患者もたくさん診療することができ、経営上優位になります。いくら設備や建物が素晴らしい医療機関であっても、それを活用するソフトであるヒトが不十分である場合は良い医療機関とは言えません。

 

また、医療機関ではヒトは看護師の配置要件に代表されるように各種の配置基準があり、きちんと数を揃える必要があります。医療というサービスはヒトが価値を生む典型的な労働集約産業と言えるため、採用・教育・評価等といったヒト関連のマネジメントが重要となってくるのです。

 

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