2025.02.10
5

生産性向上委員会の運用と5Sの進め方

~小濱道博のこれからの時代を乗り切る介護事業戦略 vol.4~

     

編集部より

2024年に行われた介護報酬改定や、経営情報の提供の義務化など、介護業界は大きな変化の波の中にあります。そのような時代において、日経ヘルスケアや介護ニュースJOINT、介護実務書籍執筆者としても著名な小濱介護経営事務所代表、小濱道博さんが「これからの時代を乗り切る介護事業戦略」を、解説していきます。

 

第4回は、「生産性向上委員会の運用と5Sの進め方」です。

生産性向上の取り組みは新たに創設された補助金の受給の要件ともなっており、また、業務の効率化はより良い職場作りのためにも重要なことです。

そこで今回は、無理なく生産性向上を実現するための、生産性向上委員会の設置と運用、5Sの考えに則った取り組みのプロセスを解説します。ぜひ、自社の生産性向上の取り組みの参考にしてください。

    

執筆/小濱道博(小濱介護経営研究所 代表)

編集/メディカルサポネット編集部

              

  

                       

1. 生産性向上委員会のプロセス

 

zoom会議のイメージ

 

生産性向上委員会の最初のプロセスでは、介護現場の日常業務フローを時間軸ごとに分割し、各業務パートで使用される管理書類や機材、職員数を一覧化する。

 

この作業により、書類の重複や独自の書類の存在を整理し、現場職員へのインタビューを通じて課題を明確化し、その根本原因を特定することが重要である。

分析には3M(無理、無駄、ムラ)の考え方を用いる。

 

課題分析においては、難解な手法は必要なく、職員インタビューの実施方法を工夫することで効率化が可能となる。

 

例えば、対面でのインタビューには時間や場所の制約があるが、ZOOMなどのオンライン会議システムやビジネスチャットツールを活用することで、時間に縛られずに意見交換やアンケートの実施ができる。

また、AI搭載のICレコーダーを用いることで記録作業の負担を軽減し、議事録作成の効率を向上させることが可能である。

 

課題分析が完了した後は、5Sを活用して業務改善を実施し、業務の効率化と生産性の向上を図る

    

  

2. 5S の進め方

 

書類を整理したイメージ 

5Sの第一ステップである整理は、必要なもの、不必要なもの、すぐには使わないものに分類することから始まる。

  

保存期限を超えた書類や重複したデータ、個人的に管理されている書類、不要なメールやファイルなどが対象となる。

整理とは「捨てる」ことであり、必要なもののみを残し、不要なものは廃棄し、すぐに使わないものは適切に保管する

生産性向上委員会が業務全体をチェックし、不要と思われるものにタグを付けて分類し、再確認の後に廃棄や保管場所の移動を行う。

 

次に整頓は、使いやすさを追求する段階であり、定置(物の場所を決める)、定品(種類ごとにまとめる)、定量(必要な分だけ管理する)を基本とする

例えば、紙の書類は利用者ごとのファイルに整理し、保管期間を過ぎたものは適切に処分する。

ラベル付けや表示を徹底し、誰でも必要なものを素早く取り出せる状態を維持する。

 

清掃は、「使いたいものをすぐに正しく使える状態」を保つために不可欠であり、職員が日常的に清掃を行い、不要なものや規則外の物品を片付けることを習慣化する

業務終了時には自身の作業スペースを整理し、清掃しながら異常がないかを点検する。

適切な用具の管理とともに、常に清潔な状態を維持することが業務効率向上につながる。

 

清潔の段階では、小さな汚れや異常を見逃さず、常に整った環境を維持することを目指す

乱雑な環境では異常や汚れが埋もれやすくなるため、机の上を整理するなどのルールを定め、夜勤者や出勤時の職員がチェックする仕組みを取り入れる。

会員登録されている方のみ続きをお読みいただけます。

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP