2022.06.13
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自社支援で人材定着!いち早く特定技能外国人を受け入れた事業者に聞く、「外国人介護スタッフの迎え方」

外国人採用のリアル

 

「その方らしさに、深く寄りそう。」という事業理念のもと、介護や保育・学童などのそれぞれの分野で、人に寄りそった事業を展開している株式会社ベネッセスタイルケア。そんな同社が、懸念される介護分野における深刻な人材不足に備え、特定技能の在留資格制度に基づく特定技能外国人の採用を開始したのが2019年です。以来、段階的に24名もの特定技能外国人を迎え、それぞれの活躍を後押ししています。

 

一般的には外部に委託することが多い「事前ガイダンス」や「生活オリエンテーション」「住居確保・生活に必要な契約支援」などについても自分たちで行っているという同社。その背景には、どんな思いがあるのでしょうか?今回は、ベネッセスタイルケア海外人財開発部の岡田さんに、外国人材を迎えるまでの経緯から、気になるサポート方法まで、詳しくおうかがいしました。

【話し手】

 

岡田 真規子 さん  

株式会社ベネッセスタイルケア 海外人財開発部

外国人材の採用から受け入れ体制づくりまで一貫して担当。現場に入ったばかりの外国人材のサポートにも積極的に取り組み、それぞれの施設における支援方法の確立にも注力している。

育成の期間も考慮し、早めの特定技能外国人の受け入れを決断

―2019年に特定技能の在留資格を利用して外国人材の採用をはじめられたとのことですが、その背景についてお聞かせいただけますか?

  

岡田さん(以下、岡田):これからの時代、介護に従事する人材はどんどん少なくなると言われています。人材育成のプロセスが必要なことなども考慮すると、ご利用者様への安定したサービスを提供し続けるためには早いうちに対策しておくべきだろうということになりました。社内でさまざまな準備を進め、2019年に特定技能外国人の採用をスタートしました。

  

 

―さまざまな在留資格があるなか、特定技能で外国人材を迎えられた理由についてお聞かせください。

 

岡田:当初、弊社が外国人の採用を検討した時点では、まだ特定技能の制度は始まっておらず、私たちも海外から「技能実習生」を迎えるという方針でした。ですが、主に現地での手続きや許認可などの面でさまざまな問題に直面して難航していたところ、2019年に特定技能の制度が新設され、介護分野でも外国人材の受け入れが可能になりました。

 

実は以前から日本人新卒を対象とした採用募集に日本国内在住の留学生から多数の応募を頂いていましたが、介護分野で活躍頂ける在留資格が存在せず入社頂くことが出来なかった経緯がありました。そこで採用対象の在留資格を特定技能に切り替え日本国内の留学生を対象とした採用活動をスタート、2020年に最初の特定技能外国人4名を採用することができました。

 

 

―特定技能外国人の受け入れに関し、介護に従事されている現場の方々の反応はいかがでしたか?

 

岡田:実は2019年よりも以前から、永住権等さまざまな在留資格をお持ちの海外出身の方たちにご活躍いただいており、外国人介護士受け入れの経験や下地がありました。そのおかげもあって、現場からの反対や抵抗などはありませんでした。「多様性を受け入れる」のが本質の介護職ということもあり、どの施設でもみんな新しい外国人材の仲間を温かく受け入れてくれました。

 

特定技能外国人を受け入れて感じる制度の特徴とメリット

特定技能外国人を受け入れて感じる制度の特徴とメリット

 

―特定技能の外国人材を迎えられて以降は、その後も特定技能「介護」で人材を迎えられているのは、どのような理由からですか?

 

岡田:当社で迎えた特定技能外国人は、留学や技能実習などですでに日本に在住していた方がほとんどです。日本の生活にもある程度慣れているうえ、日本語でのコミュニケーションも比較的上手な方が多いので、とても助かりました。海外現地からしか受け入れができない技能実習・EPAと違い、国内在住者から人材を確保できることも、特定技能の大きな利点といえると思います。

 

また、制度的な縛りが少ないことも、私たちには魅力的でした。今は変わっていますが、当初は外国人材を迎えられるのは社会福祉法人に限られていたEPAなどと比べても、特定技能「介護」は多くの介護事業者にとって活用しやすい制度だと感じています。私たちもこの制度の「自由度の高さ」から、さまざまな恩恵を得ています。

 

 

―それはどのような部分でしょうか?

 

岡田:人材育成のための研修内容を計画できるのが、一番大きいですね。技能実習では、研修のスケジュールや内容は細かく指定されていますが、特定技能の場合は、外国人介護士に受けてもらう研修の内容からそのスケジュールまで、自分たちで計画できるため、外国人材の人となりや施設の方針に合わせて育成することができます。

 

当社では、スタッフが外国人材か日本人かに関わりなく、介護士の採用では、介護技術だけではなく、介護に対する考えや姿勢も大切にしています。独自の研修を通じて介護において最も大切な“思い”などもしっかりとお伝えできることは、とてもありがたいですね。

 

―研修以外にも、外国人介護士の採用に関し、独自に取り組まれていることなどありますか?

 

岡田: 海外の方に介護の仕事について知っていただくための説明会を実施しています。海外には、高齢者のお世話はその家族がするのが当たり前という国が、今も少なくありません。そんな国の出身の方に、日本における介護の考え方や、人を支える仕事のやりがいなどをお伝えすることで、興味を持っていただきたいというのがその主な目的です。

 

当社では2020年以降、技能実習期間の満了後も、新型コロナウイルスの影響で母国に帰国できず、特定技能に切り替えて日本で働き続けることを希望していた外国人スタッフ数名を新たに迎えています。そのメンバーたちのほとんどは技能実習では農業や製造業など、介護ではない職種で働いていましたが、説明会を通じて介護の仕事に興味を持ち、当社で働くことになりました。

  

 

 

 

 

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