2024.10.15
5

対人業務に優れた薬剤師を育成するには?対人業務を充実させるメリットや薬剤師の教育方法について

利益を取りこぼさない 薬局マネジメント経営~Vol.14

    

編集部より

調剤報酬改定のたびにマネジメントの工夫が必要となる薬局や調剤併設ドラッグストア。「物」から「人」へのシフトが鮮明になり、地域の医療情報集積とコミュニケーションを担う役割も求められています。地域社会や患者さんのニーズを満たす新しい試みを続けていくためにも、薬局は安定した経営を続けていくことが必要と言えるでしょう。

 

この連載では、大手薬局グループのエリアマネジャー補佐 篠原奨規(しのはら しょうき)さんが、薬局で実際は行っているのに請求できていない報酬の把握や、見落とされがちな業務の工夫など、利益を取りこぼさないようにする薬局マネジメントについて解説します。

 

 第14回は、対人業務に優れた薬剤師を育成するには?対人業務を充実させるメリットや薬剤師の教育方法について」です。

 

対人業務に優れた薬剤師の教育方法について、薬局薬剤師が行う代表的な対人業務や対人業務を充実させるメリットを解説するとともに、対人業務に優れた薬剤師の教育方法を具体的にお伝えします。

  

執筆/篠原奨規 管理薬剤師 薬局グループ エリアマネジャー補佐

編集/メディカルサポネット編集部

   

  ノートにメモを取りながら勉強をしている男女の薬剤師

 

 

近年、対物業務中心から対人業務中心へと薬局・薬剤師のタスクシフトが求められています。対人業務を充実させるためには、薬の専門家である薬剤師としての専門知識やスキルを向上させる必要があるでしょう。

本記事では、対人業務の充実が求められている理由や薬剤師が行う代表的な対人業務、対人業務を充実させるメリットを解説するとともに、対人業務に優れた薬剤師の教育方法についてお伝えします

  

 

1. 薬局・薬剤師に対人業務の充実が求められている背景

薬剤師が薬の入った袋を患者さんに渡している

  

2015年に厚生労働省が作成した「患者のための薬局ビジョン」において、かかりつけ薬剤師の役割を発揮するために、対物業務から対人業務へのタスクシフトが必要であることが示されています。

  

従来、薬局・薬剤師の行う業務内容は、処方せんの受け取りや薬剤の調製・監査・交付、在庫管理をはじめとする対物業務が中心でした。しかし患者さんが複数の診療科を受診した場合に、薬局・薬剤師は重複投薬や相互作用を防止しできたり、薬の効果や副作用を継続的にチェックしたりするといった機能を持つ必要があります。こうした患者本位の医薬分業を実現するため、薬局・薬剤師の対人業務強化が推進されることになりました。

 

対物業務中心から対人業務中心へと変化する薬剤師の業務内容

 

資料:かかりつけ薬剤師としての役割を発揮するために求められる業務内容の変化

出典:厚生労働省「患者のための薬局ビジョン 概要」

 

2. 薬局薬剤師が行う代表的な対人業務

薬を持って患者さんに服薬指導をする薬剤師 

薬局薬剤師は、さまざまな対人業務を担当します。対人業務は主に患者さんに対して行うものだと考えがちですが、実は医師や看護師など医療関係者を対象に実施する場合もあります。薬局薬剤師が行う具体的な対人業務について、改めて確認しておきましょう。

服薬指導

患者さんから健康状態や服用状況を聞き取り、処方薬を適切に使用できるように説明・指導をする業務を「服薬指導」と言います。

 

服薬指導では、はじめに患者さんから症状や服薬状況、副作用の有無、他に治療中の病気などを聞き取り、処方内容に問題がないかをチェックします。問題がなければ、処方薬の用法用量や効果、副作用、服用時の注意点について説明し、患者さんの理解度を確認します。とくに吸入薬や自己注射など、特別な手技を必要とする薬剤については正しい使用方法を守れているかを確認し、必要に応じてデモ機を用いた指導を行います

服薬フォローアップ

2019年の薬剤師法・薬機法改正により、薬剤師業務として義務化されたのが「服薬フォローアップ」です。薬局薬剤師の役割として、処方せんを受け付けたときだけではなく、薬を交付してからの薬の使用状況や経過、副作用の有無について、継続的に把握・指導することが求められています。

たとえば、以下のケースにおいて服薬フォローアップの実施が推奨されます。

 

  • 治療有効域が狭い薬剤が処方されている
  • 認知機能の低下によって、飲み忘れの発生が推測される
  • 身体機能の低下が見られ、デバイス操作が困難な可能性がある
  • 腎機能障害のある患者に対して、腎排泄の薬剤が処方されている
  • 抗悪性腫瘍剤など継続的に副作用の発現に注意を要する

服薬情報提供(トレーシングレポート)

先に示した「患者のための薬局ビジョン」では、これからの薬局に求められる機能として、「医療機関との連携」を重視しています。医療機関連携の一環として、患者さんから得られた情報を医療機関へ提供するときに用いられるのが服薬情報提供(トレーシングレポート)です。薬物治療を安全かつ効果的に進めるために必要な情報を医療機関に伝達し、次回の診療時に活用することを目的として運用されています。

 

なお、服薬情報提供(トレーシングレポート)と混同されやすい業務として疑義照会が挙げられます。疑義照会は処方せん受け取り時に緊急性が高い事項についてその場で医療機関へ連絡するものですが、一方、服薬情報提供は処方せん受け取りの有無を問わず、即時性が低い情報について医療機関へ伝達するという特徴があります。

【参考記事】服薬情報等提供料の算定を増やすには?算定例やトレーシングレポートの記載事項

疑義照会

患者さんから得られた情報を基に処方内容をチェックした結果、疑義が生じた場合には医療機関へ問い合わせる「疑義照会」を行います。疑義照会を適切に行うことで、よりよい薬物治療の実施や健康被害の防止につながります。

会員登録されている方のみ続きをお読みいただけます。

この記事を評価する