2024.09.30
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院内SEが語る、医療DXサバイバル
システム担当者がデザインも!?広報から始めよう

システム担当者がデザインも!?

       

編集部より

医療機関のDX化が2024年の診療報酬改定にも盛り込まれ、具体的な対応をゆだねられている各医療機関。「医療情報システム安全管理責任者」の専任配置が必要になるなど、この流れは今後も拡大していくと見ています。

本編では病院で情報システム担当・院内SEをしながら自部署の採用も担当する医療情報技師、診療情報管理士小坂佑士さんが、医療機関の様々な側面でどのように医療DXを進めていくか解説します。

今回は、「システム担当者がデザインも!?広報から始めよう」です。医療機関によっては、広報費などの削減のために情報システム担当者が広報誌やホームページ作りを任されたり、セミナー運営を担当したりすることもあります。自院の広報ではどのようなことができるか、ぜひこの記事を参考にしていただだければと思います。

  

執筆/小坂佑士 医療法人社団久英会 情報システム担当

 (医療情報技師、診療情報管理士、医療経営士3級、応用情報技術者)

編集/メディカルサポネット編集部

   

 ヒューマンインターフェースのイメージ

 

何かモノを使用する際に、そのデザインが重要な要素だと感じることが多い。システム担当者がそのような話をするものだから、電子カルテなどのシステムのUI(ユーザーインタフェース)の話かと言えばそうではない。いや、全くそうではないとは言わないが、使う側にとって使いやすいように、わかりやすいように作られているかという話だ。

 

例えば私の職場の扉の話である。その扉には、左側に電子錠が取り付けられている。ただの電子錠付きの扉に見えるが、注意してみるとレバーハンドルに対して電子錠の位置が高く設置されているのだ。実際に使ってみると大人の顔の位置くらいの高さに電子錠がある。使用していても他の扉よりも高い位置にあるため、いつも違和感がある。使う人のために他と同じように取り付けておく、そろえておくというのが大切な要素だと感じた一例だ。こうならないためにも取り付け位置の高さを指定しておくこともデザイン(=設計)のひとつなのだろう。建物を見て回るとこのような事例はいくつも見つかる。お手洗いの足元に緊急呼び出しボタンがある。そこだけなぜ?エレベータに車椅子使用者用の低い位置のボタンがない。病院なのになぜ?

 

道具やモノの機能として使いやすい位置、わかりやすい色といったものは普段は何気なく使っているが、いざ別の位置や色・形になっていると戸惑ってしまう。ヒューマンインタフェースと呼ばれる分野なのだろうが、このような機能面のデザインも使いやすさ、わかりやすさが魅力へとつながってくる

建築分野ではシステム担当者が関わる機会は少ないかもしれないが、中小規模の病院では広報で関わることがあるのではないだろうか。今回は実際にシステム担当者として勤務する筆者が関わってきた広報関係の事例や、ビデオカメラなどの機材を活用したオンライン会議の改善例について紹介する。

1.ホームページや広報誌の作成

広報誌のイメージ 

これまで筆者が中小規模病院で働いてきた中で、電子カルテなどのシステム以外にホームページや広報誌の作成にも関わったことがある。その他にも広報資料の素材集めとして、写真撮影、動画撮影、ドローン撮影、動画編集、YouTubeへのアップロード、音楽作成、院内研修会のオンライン配信や会場設営(カメラや音響の準備含む)、その他としては各種SNSの活用にも関わってきた。

 

ホームページや広報誌の作成は事務部門の経費削減という目的があったのだろう。ホームページや広報誌の作成を委託するとなると数十万から数百万の経費が必要になる。広報誌などはスマホで写真を撮って、あとは用紙と印刷代が数千円で済むと考えてのことだろう。システム担当者としては多少の知識はあるので、なんとなく作ることはできるが、見栄えの良い配色や写真の撮り方といったデザインの能力はまた別の話になる。経費削減が目的であれば、質の部分は割り切ったものとして対応したい。中小規模病院であると多くは1人での対応となるし他の業務も兼務となる。質も求める場合はやはり専門の業者に依頼するのが最善と考える。組織の意向や担当者の業務量を検討したうえで進めるべきだろう。

 

2.  機材を使用してみる

音響機材のイメージ 

新型コロナの影響により、オンライン会議システムが登場した。これにより、自宅と職場といった離れた場所同士との会議などのやり取りが可能となった。それに伴いカメラやマイクも急激に普及していった。特に学会や研修会もオンラインが普及した。現地集合とオンラインを併用したハイブリッド開催が現在でも見受けられる。

 

このようなオンライン会議システムでは、同じ部屋の中で複数のマイクを使用したい場合がある。ノートパソコンなどを用いて複数台でオンライン会議システムに参加する場合、各自がマイクを使用するとハウリングを起こしてしまう。ハウリングを起こさないようにするには、上の画像の機材のようなオーディオインターフェースを使用する必要がある。

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