2022.03.18
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医療機関における人材の適材配置を見える化~訪問看護ステーションの事例をご紹介~

株式会社アシスト 代表取締役 谷嶋敦子様へインタビュー

医療機関における人材の適材配置を見える化~訪問看護ステーションの事例をご紹介~

 

編集部より

「せっかく採用したのに、ミスマッチですぐに辞めてしまった」「人手不足で採用したけれど、失敗してしまった」――このように採用で悩む経営者や人事担当者は少なくありません。自分の会社や病院、事業所に合う人を採用したくても、短時間の面接ですべてを見極めることは困難です。適性検査のSHLはこうした悩みを解決するために、「仕事とのマッチング」を重視して開発されました。SHLを活用して採用やスタッフの適正配置に取り組むエンジェル訪問看護リハビリステーションを運営する株式会社アシスト 代表取締役 谷嶋敦子様に話を伺いました。

取材・文/横井かずえ
編集・構成/メディカルサポネット編集部
 

 

SHLとは?

SHLは、国内7,800社以上の企業に導入されている適性検査ツールです。入職時だけではなく、配属・異動・昇進等のあらゆる場面で、職員の知的能力・パーソナリティの測定が可能です。採用面接時の判断材料としても多くの企業で活用されています。

 

「面接時の判断材料を1つでも増やしたい」

―― はじめに貴社の概要を教えてください

当社は訪問看護リハビリステーションを運営しています。常勤看護師約7人、非常勤看護師約10人、リハビリ職種約7人で、月に1200~1300件の訪問を行っています。

 

 

―― SHLを導入したきっかけを教えてください

きっかけはマイナビの担当者に紹介されたことです。それまで求人サイトへの掲載の仕方などは、いろいろ提案されたことがありました。しかし、採用は人数さえ確保できればいいというものではありません。きちんと人柄や職場とのマッチングを見極めた上で、採用することが大切です。そう感じていた時にこのようなツールを紹介され、「どのようなものだろう?」と興味を持ちました。

 

採用に苦戦していたことも導入の理由です。面接だけでどのような人物かを見極めることは難しく、非常に苦労していました。人手不足を解消するために、多少不安があってもとにかく採用してみたところ、結果として大きく失敗することを繰り返していたのです。そこで「面接時の判断材料が1つでも増えればいい」と思って、提案を受け入れてみました。

 

お話を伺ったインタビュー時の代表の谷嶋様

インタビュー時の谷嶋様

 

 

面接時にはよい印象でも、チームで活躍できるかは別問題

―― どのようなところに採用の難しさを感じていましたか?

チームワークが取れるかどうかを見極めるのが難しいと思います。1対1で話していると感じがいい人だと思っても、チームに溶け込めるかはまた別の問題です。特に看護師は有資格者のため、本来とても大切であるプライドがマイナスに作用してしまうのか、それまでやってきたやり方に固執したり、周囲の助言を素直に受け入れられなかったりすることがあります。しかし、チームワークを高めながら仕事を進めないと、働くこと自体が難しくなってしまいます。

 

面接に来る看護師は、病棟で一通りの経験を積んでいる人が大半なので、スキルの面で問題があることはほとんどありません。訪問看護はバックに医師や他の看護師がいない状況の中、1人で行動しなければならないので、スキルに不安がある人はあまり応募してこない印象です。その分、長く働けるかどうかは、チームワークであったりコミュニケーションスキルであったり、”人”としての資質にかかっていると感じています。

 

また、訪問看護という仕事上、現場に行ってしまうと本部からは行動が見えなくなってしまいます。病棟であれば誰かしらの目がある中で仕事をしますが、訪問看護はそうではありません。あいさつの仕方や利用者宅への入り方など一つ一つの行動も重要になります。しかし、1人になった時にどのように行動するかを、短時間の面接で見極めることはとても難しいのが現状です。

 

自分自身を客観視でき、スタッフからは大好評

―― 実際にSHLをどのように活用しているのですか?

今はゆっくり時間をかけて採用をしていこうと考えているため、まだ実際に面接の場では使っていません。しかし、冬の賞与の時期の前に、すでに勤務しているスタッフの特性を知るために受けてもらいました。そしてその結果を年末の面談時に活用しました。

 

結果は本人にフィードバックすると同時に、私と現場の責任者である管理者も共有しています。管理者がスタッフの特性を把握することで、業務分担を考える際の参考になればいいと思っています。同じことをするにも得意不得意はありますから、できるだけスタッフがストレスを感じない業務分担ができればいいですね。

 

 

―― 導入してみて、スタッフの反応はいかがでしたか?

スタッフからは大好評でした。「こういうものがあるのだけど」と紹介したら、すぐに「やってみたい」と皆、興味津々でした。自分の特性について、思っていた通りの部分もあれば、予想外の部分もあったようで、とても盛り上がりました。私自身も試したのですが、自分自身の意外な一面を発見することができて興味深かったです。

 

主観ではなく客観的に、自分自身の特性を可視化できるのはとてもメリットだと感じています。例えば誰かから「あなたにはこういうところがありますね」と指摘されたら、受け入れられることもあれば、受け入れられないこともあると思います。しかしSHLでは特性が数値化されてコメントも付くので、客観的な指標として捉えることができます。そのため、自分自身の振り返りにもつながりました。

 

人間的な要素を判断するのに期待

―― 今後の展望について教えてください

今後は新規の採用面接にも生かしていきたいです。これまでは紹介会社を通して紹介された人のうち、書類選考や面接で採用を決めていました。今後はそこにプラスしてSHLを導入し、チームワークを取りやすい人などを積極的に採用していこうと考えています。

 

また現在では、訪問看護ステーションとは別に障がい者のグループホームを2年前に始めました。まだまだこれから規模を広げていくという段階ですが、こちらの採用にもSHLが有効だと期待しています。看護師は看護師としてのスキルをベースにして、その上に人間的な要素が加わります。障がい者のケアに関わるスタッフもスキルが重要なのはもちろんなのですが、業務の特性上、より人間的な要素が重要であると考えるからです。

 

障がいを持つ人たちは、自分にとって親身になってくれる人かそうでないかをとても敏感に察知します。そのため、看護や介護のケアだけではなく、人間的にどのような人であるかがとても重要な要素になるのです。そうした際にSHLはとても力を発揮すると思っています。

 

 

株式会社アシスト
エンジェル訪問看護リハビリステーション

東京都西東京市に訪問看護ステーションを構え、西東京を中心としたサービスを展開。
保険外サービスでの訪問リハビリテーションも提供している。
認知症に関する相談や地域の方も含めた参加者同士の交流会なども毎月開催中。

【株式会社アシスト エンジェル訪問看護リハビリステーション】 http://angel-kango.co.jp/

 

SHLの詳細はこちら

 

 

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