2020.04.03
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【第2回】睡眠の質を高める朝食と夕食

睡眠研究の権威・西野精治「現代の国民病・睡眠障害を考える」

日々、忙しく仕事に追われ、食事の時間が乱れることは現代を生きるビジネスパーソンなら珍しくないはずです。わたしたちは普段あまり意識しませんが、「睡眠の質を高めるには、食事も大切」だと語るのは、スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)所長である西野精治先生。特に、夕食を摂る時間には注意が必要だと語ります。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム)

  

体内時計は摂食行動で活性化する

睡眠の質を高めるためには、食事も大事です。

 

特に大事なのは朝食でしょう。朝食には、体内時計をリセットする働きがあるからです。脳の視交叉上核にある体内時計は、摂食行動で活性化されます。つまり、朝食で、食べものを口に入れる、咀嚼する、飲み込むという運動で体を目覚めさせてくれるのです。

 

マウスを使った最近の研究では、いつもなら眠っている時間に食事を1週間摂り続けると、視交叉上核の体内時計だけでなく、肝臓の末梢にある体内時計も、食事の時間に合わせてずれてしまうという報告があります。またダイエットで朝食を抜く人もいるようですが、マウスの実験では朝食を摂らないと太るといった結果も報告されています。

  

夕食で気をつけることは、摂るタイミングです。遅過ぎても、早過ぎても睡眠の質を悪くすることになります。

まず、寝る前の食事は控えることです。寝る前に食事を摂ると、消化活動が続いている状態で眠りに入ることになり、脳も体も休ませるノンレム睡眠には入れなくなるからです。

また、寝る直前にエネルギーを摂取すると、そのエネルギーは体内で使われることなく、脂肪として蓄積されることもわかっています

 

 

寝る2~3時間前の夕食が理想のタイミング

また、日本ではあまり知られていない不眠の原因として逆流性食道炎があります。逆流性食道炎とは、強い酸性の胃液や胃の内容物などが食道に逆流して炎症をおこす病気です。欧米では不眠の原因としてよく指摘されます。日本での逆流性食道炎の有病率も約10%で、その半数が不眠を伴うとも報告されています。そういった兆候のある人は、就寝前に、脂っこいものや刺激の強い香辛料の入った食べものを摂取すると、胸焼けや吞酸で眠れなくなり、浅い睡眠が続くので、胃酸の逆流も起こりやすくなり、悪循環になります。こういった際の不眠は、逆流性食道炎の治療と生活習慣の改善での治療が望まれます。

 

夕食を早く摂り過ぎるのもよくありません。

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