2020.01.10
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看護のリアル24時  
vol.2 SCU(脳卒中ケアユニット)看護師

~抜群のチームワークが支える超急性期看護~

規模を問わず、他の病院・施設の看護実践を知る機会はそう多くありません。同じ病院に勤務していても、隣の病棟に足を踏み入れるとまったく別の世界が広がっている経験をしたことがある方も少なくないでしょう。本連載では、中小規模の病院や施設がどのような看護を提供しているのかに焦点を当て、今まで気付けなかった点を発見し、魅力ある病院へと進化するためのヒントを探るため、看護師・保健師であるメディカルサポネット編集部員、阿部 真由子が密着取材しました。
第2回目はSCU(脳卒中ケアユニット/12床)の看護師をご紹介します。脳卒中ケアに特化した超急性期の看護実践を行う特徴ある病棟で活躍する、4年目の看護師の成長と今後の目標が見えてきました。
 
取材・撮影・構成・編集/阿部 真由子(メディカルサポネット編集部)

看護のリアル24時 メディカルサポネット

 

結城 隆生さん 圏央所沢病院 SCU看護師 画像1

結城 隆夫さん

圏央所沢病院 SCU看護師
 
◆プロフィール◆

東京都出身。2016 年3月武蔵野大学看護学部卒業後、圏央所沢病院に入職し現在4年目。ICU での勤務を経て2018年9月にSCUに異動。180cmの長身は病棟随一。趣味は部屋の掃除。


 

◆圏央所沢病院SCUについて◆(https://sijinkai-ken-o.com/

「埼玉県急性期脳梗塞治療ネットワーク:SSN」の基幹病院として、脳梗塞急性期の患者様に対する血栓溶解療法」ならびにカテーテルによる「血栓回収療法」を実施している。救急隊から脳卒中疑いの通報があった場合には、ただちに院内情報共有ソフト「ERNetwork」を通じて、医師、看護師、放射線技師、薬剤師、臨床検査技師に自動的に準備指示メールが発信され、患者さんが到着された時点ですでに万全の受け入れ体制が整っている。SCUを中心に、救急外来、手術室、放射線科、検査科、薬剤科、栄養科、リハビリテーション部等が連携して、脳卒中に対する総合的な治療を行っている。病床数12床は埼玉県内最大規模を誇る。

 

病棟の成長株としてリーダーシップとメンバーシップを発揮

6:00 起床

日勤の日はこの時間に起きて出勤準備。この日はランチにお弁当を自作。

 

7:00 出発

結婚を機に引っ越し、現在の通勤は車で1時間ほどかかる。通勤ラッシュでもまれることはないが、日によって渋滞することもあるため、朝は余裕を持って出掛けるよう意識している。

 

7:50 病棟に到着

休憩室でひと息ついて仕事モードに切り替えていく。

 

8:00 フロアに出て仕事の準備

受け持ち患者さんの情報収集はもちろん、日勤リーダーを担う際は病床管理も意識し病棟全体をコントロールできるよう努める。

 

8:40 夜勤者からの申し送り

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この日は8:30~17:30の日勤。情報収集を終えて夜勤者からの申し送りを聞く。最後に共有されたのは、「手洗いの5つのタイミング」について。クイズ形式で1つずつ指名されたメンバーが答えていく。「先に言われた~!」と和やかな雰囲気の中で進み、早くも病棟の雰囲気の良さが伝わってくる。この日の日勤メンバーは師長・主任を入れて6人。しかし、2人が研修で終日不在になるため、実質4人での勤務となる。12床だから4人いれば安心、と思ってはいけない。超急性期であるSCU病棟は、看護体制は3:1。1人あたり3人までしか受け持つことができない。結城さんは3人の患者さんを受け持つこととなった。


 

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日勤メンバーで今日の予定を確認しあう。通常であれば日勤者が6人いるよう勤務表を組んでいるが、スタッフの欠員が続いている現状がある。この日は齋藤師長自らも患者さんを受け持ち、管理業務・研修講師・患者さんの看護、これら3つを同時進行していく。「私は動いている方が好きなので、患者さんを受け持つと楽しくて、管理よりも性に合っているのかもしれません(笑)」。忙しくも生き生きとした目が印象的だ。


 

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申し送り中ふと目に着いたスマートフォン。天井から聞こえてくるBGMはここで自由に選曲されているという。ジャズやJ-POP等、心地よい音であればどんなジャンルでもよく、メンバーの好みに応じた曲が流れていた。


 

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その横では朝のリハビリのために理学療法士が患者さんのもとを訪れており、それぞれ歩行訓練やベッドサイドリハビリテーション等を実施している光景も特徴的だ。


 

9:05 週1回のチャートラウンドに同行

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医師・看護師・理学療法士・薬剤師(この日は不在)のチームが一緒に患者さんのもとを訪れ、症状の確認・リハビリの進行状況・今後の見通しを共有する機会を持っている。

結城:「この方の安静度がまだトイレの指示のままで・・・」

医師:「大丈夫そうだから今指示を『フリー』に変えるよ」


 

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9:15 受け持ち患者さんの点滴準備をしてベッドサイドへ

昨晩緊急入院した患者さんの点滴をダブルチェック後準備し病室に向かう。

意思疎通は問題なくやりとりできる患者さんであるため、先ほど医師から変更のあった安静度を伝える。その際気を付けるべきことも伝え、患者さんがしっかり理解できたかを確認しながら話を進めていた。


 

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ひととおり患者さんの状態確認を終えてから点滴を開始することに。

結城:「確認のためお名前教えてください」

患者さん:「〇〇〇〇です。ちょっとここ(点滴刺入部)痛いな」

結城:「もしかしたら漏れているのかもしれません」

点滴差し替えのため一旦退出し、準備を調え再訪室。無事新しい点滴ルートを確保できた結城さん。点滴が終わる30分後にまた来る旨を患者さんに伝えた。


 

9:30 別の患者さんのもとへ

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患者:「ここ(EGG電極貼付部位)」かゆいんだよ」

結城:「外してもいいか先生に聞いてみますね」

 

その後結城さんの目は忙しそうに動き回る齋藤師長に向いていた。

結城:「何か手伝えることありますか?」

師長:「大丈夫!ありがとう~」

マルチタスクで動く師長に代わって結城さんがリーダーの役割を自然と果たしている。


 

9:45 看護記録

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時間をみつけては、こまめに看護記録を入力する結城さん。後でゆっくり記録"しない"のにはワケがある。院内情報共有システムのモニターに「救急搬送、脳外・意識障害」と表示されており、SCUに入院になる可能性を察知したためだ。それによって結城さんの仕事の流れも変わることから、できることは早めに終わらせ今後の動向を気にしている。


 

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10:10 緊急入院依頼の一報

それまでの穏やかな空気が一転、

結城「レベルは?麻痺は?吐き気は?はい、了解しました!師長、入院です!」

師長:「成川くんお願いできる?あ、でもそれだとバランス悪いから私が担当しようかな」

瞬時に役割が決まり、結城さんはエアマットやベッド移動、必要物品・書類の準備を担い、師長のフォローを担う。この間時間にして1~2分。見事なチームワークだ。


 

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同時に受け持ち患者さんからのナースコールも鳴った。

患者さん:「トイレに行きたいんだ」

トイレ歩行可能の指示が出てから初めての歩行であるため、結城さんが付き添う。安定した歩行ができているか、顔色や症状に変化はないか、結城さんの視点は複数にまたがる。


 

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11:00 緊急入院の患者さんの画像を確認

頭部CT画像を全員で見て、発症部位を確認し、会話が成り立たない状況にあることが推察された。日頃から院内で「脳卒中治療ガイドライン」に沿った勉強会が盛んに行われており、画像を読み込む能力をはじめ、全員が高いスキルを持っている。脳のどの部位が損傷されたらどのような症状が起こるか、今後どのような経過をたどるか、それを踏まえた上で看護にあたる。


 

11:10 外来から入院患者さん到着
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「5分後に行きます」と外来看護師から連絡があり、全員で受け入れる。ストレッチャーでの移動によって気分が悪くなってしまった患者さんにも、チームワークで迅速に対応。


 

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緊急入院の受け入れ対応中に受け持ち患者さんの点滴交換が重なった結城さん。一旦緊急入院の対応から離れ、点滴交換にあたる。


 

11:20 理学療法士(PT)からリハビリを終えた患者さんの報告を受ける

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結城:「歩行大丈夫そうですか?」

PT:「そうですね、安定していますよ。ただ、夜間頭痛があるようなので、夜間の歩行は付き添ってもらえますか?」

結城:「わかりました。ありがとうございます」

 

その後ちょうど病棟にいた言語聴覚士に、とある患者さんの食事にどの程度のとろみをつけたらいいか相談し、アドバイスを受けた。常に多職種が病棟に出入りする環境は、すぐに疑問を解決することも可能だ。


 

11:30 記録&前半の休憩者からの申し送り

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緊急入院の患者さんが落ち着いたところで、休憩に入る時間帯となった。前半・後半に分かれ、前半休憩に入る2人から申し送りを受ける。12人の入院患者さんを2人でみる緊張の1時間が始まる。結城さんは後半組。中途入職で入った同い年の成川さんとペアだ。

「今日はとても順調に進んでいます。午後緊急入院や急変がなければ、今のうちにやることを終わらせて、午後は記録の見直しをしようと思っています」

結城:「成川くん、午後何もなければ、助手さんの業務やっておこうよ」

成川:「わかりました!14時からならできます」

普段いる看護助手も今日は不在。病棟全体を見渡して、自分ができる役割を果たす責任感の強さが伝わってきた。


 

12:00 昼食の配膳

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昼食が届き、患者さんに配膳。自立した患者さんが少なく、配膳・下膳には1人1人 細かく気を配る。

結城:「この時間の2人は緊張するね」

成川:「そうなんですよね」

1人がトイレ介助に入れば動けるスタッフは1人のみになるため、短い時間にせよ患者さんの変化を察知する力を最大限に発揮する時間だ。


 

12:45 ランチ

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後半組の結城さんも休憩へ。病棟の奥にある広々とした休憩室でランチ。職員食堂に行っていた時期もあったが、最近はもっぱらお弁当派だ。

3年前にただ1人の新卒看護師として入職した結城さん。新卒同期がいない寂しさは特に感じず、周囲のサポートを受けながら成長し続けた。

 

就活の際の最も重視したのは「電子カルテの病院であること」。学生時代、手書きの実習記録に苦しみ、内容に関するアドバイス以前に「もっときれいな字で」と教員から指摘された苦い記憶がある。ここでは病院新築に伴って電子カルテが全面的に採用され、手書きを要する仕事はほぼないという。病院説明会や見学会に参加し、好印象だったことも手伝って就職を決めた。そこから間もなく4年。現在は病棟を支える次期リーダーとして期待されると同時に、災害委員会のメンバーとして、災害マニュアル作りや勉強会への参加など、精力的な活動を行っている。


~成長の軌跡~

SCU期待の星である結城さんですが、この4年間どのように成長してきたのでしょうか。結城さんの成長を1年目から見守り続けている齋藤師長にお話をうかがいました。

「結城君は集中治療室初の新人入職者でした。集中治療室という特殊病棟に配属となり、右も左も分からないスタートではありましたが、入職当初より誰よりも向上心が高く、常に前向きな姿勢で患者さんの看護にあたっていました。
当日出来なかったことは必ず次回には出来るようにしてくる、分からない事は必ず資料にまとめて勉強してくる等、人一倍努力をする姿が印象に残っています。現在は看護師4年目となり、今まで培った高度なアセスメント能力も活かして、現場リーダーを任せることが出来るまでに成長しました。もう4年目、まだまだ4年目。看護師としてこれからもどんどん成長し活躍していって欲しいと思っています」。

        

常に先を読み、できることを全力で取り組む

13:25 CVカテーテル挿入の介助

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休憩途中であったが、急遽実施されることになった処置の介助につくことに。「久しぶりだったのでちょっと緊張しました」と言うものの、その手つきは慣れたもの。医師との連携もスムーズに進んだ。

圏央所沢病院では看護師は2交代の勤務体制だが、結城さん自身の希望で夜勤が多いシフトになっており、その回数は1ヵ月に8回にのぼる。必然的に日勤の数は減り、5日前後。こういった処置は日勤で実施されることが多いため、結城さんにとっては「久しぶり」だったのだ。


 

13:50 緊急入院の一報

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「入院くるよ~!」と医師から一報が入った。AMの入院で満床となったことから、齋藤師長はベッドコントロールをすべく、SCUの入院患者さんを一覧できるモニターを見上げた。ここSCUは最大14日間の入院が可能だ。SCUから直接退院する患者さんもいるが、多くは院内の急性期病棟や回復期病棟へと転床し退院準備を進めていく。SCUは超急性期病棟であるため、常に緊急入院に備えてベッドを空けておくことが求められる。そのため症状が安定した人から順に3位まで転床リストが掲げられている。満床のSCUに誰かが入院するということは、誰かが転床するということ。入院と転床、2つのことが同時進行していく。


 

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一方の結城さんは、入院の受け入れ準備を着々と進めていた。今年からリーダー業務を担うようになったそうだが、見える景色はどう変わったのだろうか?「以前は、目の前のやることだけに集中していましたが、リーダーを通して全体を俯瞰するようになって、患者さんのことをより長期的な視点で考えるようになりました。どこに帰るのか、ご本人がどうなりたいと考えているのか、そういうところにより関心が向くようになりました」。

院内の教育改革元年に入職した結城さん。「1年目から手塩にかけて育てました!」という井之川主任の教えは開花しつつある。


 

14:50 緊急入院の部屋準備

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緊急入院を受け入れるにあたり、転床リストに沿って1人の患者さんが一般病棟に転床となり、結城さんはその後の部屋の掃除や忘れ物の有無等を確認し、緊急入院の患者さんをすぐに受け入れられるよう環境整備を行う。


 

15:25 入院患者さんが病室へ
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患者さん:「足が言うこときかないわ」

結城:「ゆっくり移りましょうね」

 

受け持ち看護師が外来看護師から申し送りを聞いている間、結城さんと成川さんはベッドサイドでバイタルサイン測定や身体アセスメントを進める。

 

「この時間に緊急入院を受け持つと残業になるイメージがあるかもしれませんが、みんなでサポートすれば全員が定時で帰ることが可能です」。自分のためにも、病院経営のためにも残業はしない、そのエネルギーも大きな原動力になっている。


 

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15:45 他のメンバーのフォロー

超急性期への配属を希望した結城さんに、SCUのやりがいについて伺った。「ここにいる患者さんは皆、一見大丈夫そうに見えても、夜には急変する可能性があります。だからこそ『今』で判断せず、予測しながら看ていく力が求められていると思います。脳に特化している病棟ではありますが、SCU入院の原因となる基礎疾患を含め、幅広い疾患を勉強できる点も魅力です」と話してくれた。結婚後は、仕事だけでなくプライベートの充実も重要視している。「いずれ子供が生まれたら、絶対に育休を取ります!」。すかさず成川さんが「それ僕がすごく困ります!!」と拒む場面も(笑)。


 

16:30 夜勤の担当者へ個別申し送り

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夜勤メンバー4人が出勤し情報収集を終えたところで、まずは各受け持ち患者さんに関する申し送りが始まった。自身の受け持ち患者さん3人が、夜勤者3人に振り分けられたため、それぞれに必要事項を伝える結城さん。


 

17:00 齋藤師長から夜勤者へ全体申し送り
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師長が申し送りしている際も、自身の業務を終えた結城さんは積極的にメンバーのフォローにまわる。

・患者さんのトイレ介助

・医療廃棄物の片づけ

・摘便介助

結城:「医療廃棄物は全部まとめたので、あとは捨てに行くだけです。リネンの洗濯はありません」

師長:「ありがとう!」


 

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また、緊急入院した患者さんのアナムネ入力を、受け持ち看護師に確認しながら進めていくことも忘れない。


 

"

17:30 勤務終了

普段よりメンバーが少ない勤務の上、緊急入院2件を受け入れるという忙しさだったが、定時で勤務終了。お互いができることをやりフォローしあう心地いい環境だからこそできることだろう。患者さん第一に考えながら、「定時で帰りたい」という想いも大切にした職場風土は、これからも受け継がれていくに違いない。


 


社会医療法人至仁会 圏央所沢病院

開設:昭和60年5月(吉川病院として開院、平成21年4月から圏央所沢病院)
院長:谷川 達也
看護部長:小菅 順子
ベッド数:197床
看護基準:7対1(SCU:3対1)
病院職員数:795名
看護職員:205名

URL:https://sijinkai-ken-o.com/

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