2019.11.13
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20年度改定後の薬価、消費税率引き上げ前の実勢価格を反映─薬価専門部会が了承

メディカルサポネット 編集部からのコメント

8日に第159回中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)が開催され、2020年度薬価改定は、2019年度の薬価調査で得られた市場実勢価格を踏まえて行われることが決まりました。本来は10月の薬価改定後の実勢価格とするべきところ、今回は改定後薬価に消費税率引き上げ後の実勢価格が反映されないことと、20年度予算編成に間に合わせなければならない時間的制約から、支払・診療側とも例外的な対応となります。再度、市場拡大再算定を再び受ける品目が前回の再算定時に下げ止め対象となっていた場合は、これを考慮して次の再算定を行うこと、過去に用法用量変化再算定(市場規模が変化した場合)を受けた品目についても、市場拡大再算定の適用の是非を判断する際には、前回の算定時点の年間販売額を基準にすることを明確化する―ことなども了承されました。

  

中央社会保険医療協議会の薬価専門部会は11月8日、2020年4月の薬価改定について、19年度の薬価調査で得た実勢価格を用いて改定後薬価を算定することを了承した。薬価調査は19年10月の薬価改定前に実施されたため、改定後薬価に消費税率引き上げ後の実勢価格が反映されなくなるが、年末の20年度予算編成に間に合わせなければならない時間的制約から、支払・診療側とも、やむを得ないと受け入れた。

 

税率引き上げ後の実勢価格が反映されないことについて、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「本来は10月の薬価改定後の実勢価格とするべきだが、今回は例外的な対応なので仕方がないものと理解している」と表明。支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)も、「予算編成のタイミングを考慮すると、20年度薬価改定については、このやり方以外にないと理解する」と同調した。

 

部会ではこのほか、複数回にわたって市場拡大再算定の対象になった品目の扱いなどを議論した。市場拡大再算定には、①薬価改定に合わせて行う通常の市場拡大再算定、②市場拡大再算定の特例、③年4回の新薬収載時に市場規模350億円超の品目を対象に行う四半期再算定―の3種類があり、その適用に際しては、企業の開発意欲を削ぐことがないよう、薬価の引き下げ率に下限(下げ止め)が設けられている。

  

■市場拡大再算定を再適用する場合の取り扱いを議論

市場拡大再算定が複数回適用された品目には、アルツハイマー型認知症治療薬の「アリセプト錠」などがあるが、過去に市場拡大再算定を受けたことがあると、次の再算定の適用是非を判断する際の基準年間販売額は、その時点の年間販売額まで引き上げられることになる。このため、薬価算定組織は6月に開催された部会の際に、前回の再算定時に下げ止め対象になった品目については、下げ止めを行なわなかったと仮定した額で年間販売額を算出することを提案していた。

 

これを受けて厚生労働省は部会に、▶市場拡大再算定を再び受ける品目が、前回の再算定時に下げ止め対象となっていた場合は、これを考慮して次の再算定を行う、▶過去に用法用量変化再算定(市場規模が変化した場合)を受けた品目についても、市場拡大再算定の適用の是非を判断する際には、前回の算定時点の年間販売額を基準にすることを明確化する―ことを提案し、了承された。

 

また、効能変化再算定では論点として、▶現在は効能変化再算定が適用されない、変更後の主たる効能効果の薬理作用類似薬がないケースへの対応、▶現在は薬価改定時とされている実施タイミングの見直し─などを示した。提案を受けて支払側は、実施タイミングを四半期再算定に合わせて年4回とすることを求めたが、診療側は医療機関、薬局、企業の負担が増える可能性があると否定的見解を示した。

 

 出典:Web医事新報

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