2019.11.06
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介護・障害など一体的相談窓口設置、市町村事業で
21年度から任意で開始へ、厚労省社会・援護局

メディカルサポネット 編集部からのコメント

2021年度からは市町村の任意事業として、新たな支援事業が始まる見通しです。厚生労働省が検討しているのは、これまで「介護」「障害」「子ども」「生活困窮者」それぞれの枠組みで設置していた相談窓口を、属性や年齢にかかわらず一体的に受け止める「断らない相談支援」窓口の設置。関係部署や地域資源への橋渡しを可能にし、就労や居住支援、居場所の提供を通じて社会とのつながり構築を助けるとのことです。

 

 厚生労働省では、8050世帯の子どもに代表される社会的孤立など既存の支援制度の狭間にあるニーズへの対応について検討が進んでいる。2021年度からは市町村の任意事業として、新たな支援事業が始まる見通しだ。先月半ばには同省から具体的な事業の枠組みが示された。高齢者、障害者、子ども、生活困窮者の相談支援事業を一体的に行うために、総合的な相談を受け付ける「断らない相談支援」窓口を市町村に設置して関係部署や地域資源への橋渡しを可能にする。就労などを含む社会参加への支援も事業の柱として位置付ける。【吉木ちひろ】

 

自治体関係者や地域住民の生活支援に関わる事業者などで構成される検討会のメンバー

自治体関係者や地域住民の生活支援に関わる事業者などで構成される検討会のメンバー

 

社会・援護局の「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」では、現行の福祉制度の課題や対応し切れていない地域ニーズの整理・共有を進めてきた。7月の中間取りまとめでは、「断らない相談支援」「参加支援」「地域やコミュニティにおけるケア・支えあう関係性の育成支援」の一体的な体制整備に積極的に取り組む市町村に対して、国が政策的な支援を行う必要性を指摘している。

 

 地域の複合的なニーズに対応するために、新たに創設する事業にはこの3つの機能を一体的に備える。これまで「介護」(地域支援事業)、「障害」(地域生活支援事業)、「子ども」(利用者支援事業)、「生活困窮者」(自立相談支援事業)それぞれの枠組みで設置していた窓口で対応していた相談内容を、属性や年齢にかかわらず一体的に受け止めることで、これまでの制度では対応できていなかったニーズに対応し、就労や居住支援、居場所の提供を通じて社会とのつながり構築を助ける。また、市町村が地域住民同士の交流機会の提供や地域資源とのコーディネートを手掛けて、地域住民が互いに支えあう関係性を醸成していく。国からの補助金についても、市町村によって事情に応じた柔軟な運用が可能になるよう、新たな規定を整備する。

 

 分野を包括した専門職を配置する総合的な相談支援窓口の設置については、モデル事業として三重県名張市(11月時点人口7万8,467人)による「まちの保健室」の設置や、愛知県豊田市(10月時点人口42万6,142人)の社会福祉協議会と地域包括支援センター、障害者相談支援事業所との連携による「健康と福祉の相談窓口」の運営などの取り組みが先行してきた。同局はこうした自治体が任意事業でも全国の自治体を先導する立場になると期待を寄せており、好事例などを収集していく考え。

 

 10月に2度にわたって開かれた検討会では、相談機関や窓口で業務や課題を抱え込むことなく市町村全体がチームとして支援に当たるための仕組みや人員配置の在り方、相談窓口に来られない人のニーズを掘り起こすための方策などについて事務局が問題提起し、意見が交わされた。市町村の規模によって、部署間の円滑な連携や専門的な人材の確保など課題や必要な対応も異なることなどが共有されている。民間企業のリストラに遭った人材など、行政や支援団体など以外からの多様な人材を呼び込める仕組みを検討すべきとの指摘や、高齢者向け施設の空いたスペースなどの活用が可能になるよう、既存の仕組みや制度の運用緩和を求める意見などもあった。

  

 

出典:医療介護CBニュース

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