2019.10.03
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424病院のリスト受け、日病会員に戸惑いの声
相澤会長「構想の全体像が見えず、議論困難」

メディカルサポネット 編集部からのコメント

増え続ける医療費を抑えるために、厚生労働省は26日、診療実績が少なかったり、似たような機能を持つ病院が近くにあったりして、「再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」として、全国424の病院名を公表し、2020年9月までに対応策を決めるよう求めました。これに対し、日本病院会の相澤孝夫会長は「地域医療構想をどうしていきたいのか全体の姿が全く分からない」と強く反発しています。今後、地域の状況も踏まえた、丁寧な調査・話し合いが求められます。

 

 日本病院会(日病)の相澤孝夫会長は、厚生労働省が「再編統合の必要性について特に議論が必要」な公立・公的病院424施設を実名入りで公表したことについて、「地域医療構想をどうしていきたいのか全体の姿が全く分からない」と1日の定例記者会見で苦言を呈した。会員の間で、明確なビジョンがないまま病院名が公表されていることに対して戸惑いが広がっていることを明かした。【吉木ちひろ】

 

会見に臨む相澤会長(1日、東京都内)

会見に臨む相澤会長(1日、東京都内)

 

 9月28日の理事会では、厚労省が分析結果を提示したことを受けて、それぞれの病院の今後の対応について議論した。相澤会長によると、厚労省が示した分析結果について、データは示されたものの、その結果に基づく各地域での検討のポイントや、目指すべき医療提供体制の方向性が示されていないことに対する指摘があったという。「まず、地域の医療をどういう姿にしていくのか」というビジョンが示された上で、「それを達成するために、こうしたデータを基に各病院が話し合っていくべき」などの意見が主なものとして上がったと述べた。

 

 理事会に参加した公立病院の代表者からは、地域で医療提供体制について話し合う際に「民間のデータがないと議論はできない」との指摘があり、民間病院の代表者らもこれに同意したという。地域医療構想調整会議での議論を進めるためには、より長期間を対象に幅広い疾病・事業について分析したデータが必要だとして、日病としても、こうした実情を分かりやすく提示するデータを、年内を目標にそろえるべく準備を進めているという。

 

 また、相澤会長は厚労省の意図について、「大きなセンター病院をつくっていくという方向に向いているのではなかろうか」という危惧から、小規模病院などで不安が広がっていることも明かした。

 

 さらに相澤会長は私見として、9月27日に医政局が見解を示した文書「地域医療構想の実現に向けて」についても「何を言おうとしているのか、よく分からない」と言及。「急性期病床だけをダウンサイジングすればいいのか」と現時点での受け止めについて語った。

 

  

出典:医療介護CBニュース

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