2019.07.18
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事務負担を軽減、診療報酬改定でレセプトの合理化へ
厚労省が中医協で提示

メディカルサポネット 編集部からのコメント

17日に第419回中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)が開催され、医療機関での事務作業の負担を軽減するため、2020年度の診療報酬改定で診療報酬明細書(レセプト)の記載内容をさらに合理化することなどが提案されました。具体的には、「介護・障害者福祉サービス等と医療の連携の在り方」「診療報酬に係る事務の効率化・合理化及び診療報酬の情報の利活用等を見据えた対応」などについてです。事務負担の軽減に向け、「施設基準等の届出において、様式の廃止や提出する資料数の低減、届出する機会を減らす等の合理化」や「施設基準の届出手続きの一部簡素化」も検討されます。

   

 厚生労働省は、17日の中央社会保険医療協議会・総会で、医療機関での事務作業の負担を軽減するため、2020年度の診療報酬改定で診療報酬明細書(レセプト)の記載内容をさらに合理化することなどを提案した。これに対して強い反対意見は出なかった。中医協では、24日に予定されている次の総会で、「第1ラウンド」の取りまとめをする予定だ。【松村秀士】

  

中医協・総会の様子(17日、東京都内)

  

 診療報酬の請求に伴う事務作業については、告示や通知などで曖昧な算定要件の記載がなされて医療機関が算定の可否の判断に苦慮する場合があったり、レセプトの摘要欄にフリーテキスト形式で記載する項目があったりして、それらが事務担当者の負担につながるケースが少なくない。

 

 こうした状況を踏まえ、17日の総会で厚労省は、20年度改定に向けて、▽診療報酬請求などに伴う医療機関の事務作業の効率化・合理化▽診療報酬関連のデータの利活用―を提案した。

 

 具体的には、留意事項通知などで算定可能な場合が明示されているものについて該当するものを選んで記載するといった見直しを18年度改定で行ったが、レセプトの内容を「さらに合理化する余地がある」とし、議論を促した。

  

 幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「レセプトの摘要欄の高度化は大賛成だ」と述べたほか、猪口雄二委員(全日本病院協会会長)も「施設基準等の事務に関わる効率化・合理化は進めていただきたい」と要望するなど、支払側・診療側の双方から、事務作業の効率化を求める意見が出た。

  

■レセプトへの郵便番号の記載、議論再開

  

 診療報酬関連のデータを利活用するため、厚労省は総会で、患者の住所の郵便番号をレセプトに記載することなども提案した。これは、18年度改定で見送られた“積み残し”の案件で、同改定の答申書の附帯意見では、データの利活用に関する今後の検討課題としてレセプト様式や診療報酬コードの体系の抜本的な見直しを挙げ、「郵便番号の追加を含め、次期診療報酬改定での対応について、引き続き検討する」とした。

 

 18年度改定を巡る中医協での議論では、郵便番号がレセプトに記載されれば、患者の流出入を月次ベースで把握することができるようになることから、地域の関係者が地域医療構想や医療費適正化計画などを実際の患者の流出入に即して評価することが可能になるとのメリットが指摘された。また、20年度に向けて検討されている被保険者番号の個人単位化との関係も併せて郵便番号の記載について整理することが適当とされた。

 

 郵便番号がレセプトに記載される場合、厚労省は20年度に稼働する予定の「保健医療データプラットフォーム」を使ってより有用な患者情報を収集できるとの見解を示していた。

 

 意見交換では、松本吉郎委員(日本医師会常任理事)が、「医療機関としては住所情報を入れるのはシステム化も含めて費用負担がかかる問題もある」とした上で、「患者の申し出による郵便番号ではなく、きちんとした保険情報から記載することが基本だ」と述べた。

 

 一方、吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、「被保険者証に住所情報を記載することになると、協会けんぽの加入者4000万人の保険証を全部差し替えて記入することになる」と懸念を表明。マイナンバー制度の活用も踏まえて検討すべきだと主張した。

 

 

出典:医療介護CBニュース

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