2019.07.01
3

メタボリックシンドロームの未病を科学的に検出
富山大と東大の研究グループ

メディカルサポネット 編集部からのコメント

超高齢社会を迎え、医療や介護などの社会保障給付費が増加しています。医療費の削減と健康寿命の延伸のために、注目されているのが「未病対策」です。未病の対象となるのは、高血圧、高脂血症、糖尿病、動脈硬化、心不全、 脂肪肝などがありますが、いずれもメタボリックシンドロームとは切り離せません。

このたび、富山大学および東京大学の研究グループがメタボリックシンドロームの「未病」状態を数値化することに成功しました。今後、メタボリックシンドロームのみならず、認知症、サルコペニア、フレイルなどへの応用も期待されています。

   

 富山大は、同大と東京大の研究グループが、メタボリックシンドロームの未病(疾病前状態)を科学的に検出したと発表した。生体信号の揺らぎに着目した数学理論(動的ネットワークバイオマーカー理論)により、実用的に簡易化したインデックスを用いて実データを解析したという。今後、従来の医療の枠組みを超えた未病に対する「先制医療戦略の構築」が期待できるとしている。【新井哉】

 

 

 動的ネットワークバイオマーカー理論では、健康な状態から病気の状態へと遷移する直前に、一部の互いに関連した生体信号の揺らぎが大幅に増加することが数理解析によって予測されているため、「揺らぎが大幅に増加した時点」は「未病の状態」と考えることができる。これにより、未病を生体信号データの解析を介して定量的に直接検出することが可能となったという。

 

 富山大和漢医薬学総合研究所の小泉桂一准教授や東京大生産技術研究所の合原一幸教授らの研究グループは、メタボリックシンドロームを自然発症するマウスを飼育し、脂肪組織における遺伝子の発現量をマイクロアレイによって網羅的に測定。動的ネットワークバイオマーカー理論に基づくデータ解析を行い、測定期間内で揺らぎが増加した時点があるか調べた。

 

 解析の結果、マウスがメタボリックシンドロームを発症する前の時点で、147個の遺伝子の発現量の揺らぎが大きく増加していることが明らかとなったという。この研究の成果は、英国の科学誌「Scientific Reports」(オンライン版)で公開された。

 

 

出典:医療介護CBニュース

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP