2019.06.28
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「東京総合医療ネットワーク」10病院が新たに参加
参画ベンダー拡大、診療所との連携も可能に

メディカルサポネット 編集部からのコメント

東京都内の病院・診療所等の医療機関が電子カルテを利用して診療情報を相互参照することで医療の質と安全性の向上および医療資源の効率的な活用を推進し、都民がより良い医療サービスを享受できる豊かな社会の実現に寄与することを目指す、東京総合医療ネットワークがはじまります。26日に令和元年度 東京総合医療ネットワーク運営協議会 第1回総会が開催されました。運営は東京都病院協会です。ITの活用により、転院患者の状況を把握しやすくなる他、診療情報の共有により医師の負担が減るなどのメリットが期待できます。

   

 東京都医師会(尾崎治夫会長)が主導して構築する、患者情報の共有ネットワーク「東京総合医療ネットワーク」の運営協議会が26日に開かれ、参画ベンダーの拡大や診療所の参加などといった今後の方向性が示された。異なるベンダーの地域医療連携システムを導入する8病院の間で2018年11月から運用されているこのネットワークは、東京医科歯科大医学部附属病院、東京医科大病院など10病院以上を新たに加えて体制を拡充する。【吉木ちひろ】

  

尾崎会長は、患者の受療行動や退院後の経過を把握することが「東京の医療の水準を保つためにも必要」とネットワークの発展に期待を込めた(26日、都医師会館)

 

 ネットワークに加わるのは、▽いずみ記念病院▽東京医科歯科大医学部附属病院▽同愛記念病院▽東京都保健医療公社豊島病院▽東京医科大病院▽東京都済生会中央病院▽日本医科大多摩永山病院▽独立行政法人国立病院機構東京病院▽三井記念病院―など。現段階で公表を許可していない病院を含めると、10以上の施設が新たに参加する予定。

 

 このネットワークは、電子カルテに実装している地域医療連携システムを利用して患者の検査結果や処方内容などの情報共有を可能にするもの。現在、「HumanBridge」(富士通)と「ID-Link」(NEC、SEC)の2つのシステムが連携している。都医師会の調査によると、都内の500床以上の病院の8割がこのシステムを採用している。現在、さらに「CareMill」(ソフトウェア・サービス)、「PrimeArch」(SBS情報システム)を参画ベンダーに加えるべく、調整を進めている。

 

 ネットワークを主導する目々澤肇理事は今後の展開について、診療所や中小病院を閲覧施設としてネットワークに19年度中に組み込むことなどを報告した。既にネットワークに参加している8病院には、個別に診療所などに対して情報開示している機関があり、患者からの同意書の取り方など、取り決めを完了させれば、ネットワーク内の情報が閲覧できるようになるという。これで、閲覧施設は病院が61施設、診療所が113施設まで広がることになる。情報を開示する病院では、退院した患者の検査所見を診療情報提供書に書き込む必要がなくなり、担当医の負担軽減が期待できる。

 

 これが実現すれば、診療所にとっては日常的に診察していた患者の病状が悪化し、入院した場合にも、病院のカルテの情報閲覧が診療所にいながら可能になる。病院同士がネットワークに入っていれば、転院した場合にも経過が途切れることなく確認できるため、目々澤理事は「“患者離れ”の悪い医師に非常に役立つ」などと説明した。

 

 

出典:医療介護CBニュース

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