2019.06.21
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転院搬送が過去最多、救急出動に影響も
2018年速報値、適正利用呼び掛けも改善せず

メディカルサポネット 編集部からのコメント

総務庁消防庁は19日付で「平成 30 年中の救急出動件数等(速報値)」を公表しました。救急車の出動件数は年々増え続け、それに伴い現場到着にかかる時間も伸びています軽症者による救急車の利用問題の対策として、総務省消防庁は救急車利用マニュアル(日本語/英語/中国語/韓国語)を発行しています。しかし、転院の際にも医療機関の病院救急車や患者搬送事業者ではなく、タクシー代わりに救急車が要請されるケースも後を絶ちません。転院搬送のルール化、ガイドラインの策定が求められています。

   

 いったん医療機関に収容された患者の症状悪化や専門的な処置が必要となった場合、他の医療機関に搬送するために救急車が出動する「転院搬送」の1年間の出動件数が過去最多となったことが、総務省消防庁が公表した2018年の救急出動件数の速報値で分かった。消防庁は救急車の適正な利用を呼び掛けているが、9年連続で増えており、改善の兆しが見えない。【新井哉】

 

  

 消防庁によると、18年の転院搬送出動件数は54万1956件で、前年より7884件増えた。18年の救急出動件数(660万5166件)のうち転院搬送が8.2%を占めている。

  

 転院搬送を巡っては、タクシー代わりに使うといった本来の救急業務の範囲外とみられるケースがあることが問題視されている。消防庁と厚生労働省は16年3月、都道府県に通知を出し、転院搬送のルール化に向け、地域の合意形成を支援するよう要望。緊急性の乏しい転院搬送に関しては、医療機関の病院救急車や消防機関が認定する患者搬送事業者の活用を検討する必要性を挙げていた。

  

 消防庁が2月に公表した消防白書(18年版)でも、転院搬送が全体の救急出動件数に与える影響が大きいことを指摘。16年の通知に基づくガイドラインの策定について、「作業が進んでいない都道府県が散見されることから引き続きフォローアップを行っていく必要がある」との考え方を示している。

 

 

出典:医療介護CBニュース

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