2019.06.06
3

認知症予防の数値目標を取りやめ―認知症施策推進大綱案

メディカルサポネット 編集部からのコメント

5月16日に開催された認知症施策推進のための有識者会議(第3回)において、認知症予防に係るKPI主要業績評価指標)の設定について話し合われていましたが、6月4日に根本巧厚生労働大臣は認知症予防の数値目標を取りやめ、参考値に変更することを会見で発表しました。予防が強調されることで、予防に取り組みながらも認知症になった人が「落第者」とされかねないといった意見があり、認知症の人や家族への配慮を示しました。

   

根本匠厚生労働相は4日の閣議後会見で、政府が近くまとめる予定の認知症施策推進大綱について、予防に関する数値目標を設定しない方針を明らかにした。

 

政府が先月発表した大綱案では、予防に関して「70歳代での発症を10年間で1歳遅らせる」とのKPI(Key Performance Indicator)/目標を設定。さらに、この目標を有病率に置き換え、「6 年間で相対的に 6%の低下」などの数値目標も示していた。

 

会見で根本厚労相は、予防に関する数値目標を取りやめる理由について「認知症当事者の人たちから、『頑張って予防に取り組んでいながら認知症になった人が落第者になって自信をなくしてしまう』などの意見や声をいただき、これらを真摯に受け止めた」と説明。その上で、「70歳代での発症を10年間で1歳遅らせること自体をKPIや目標とするのではなくて、予防の取組みを行った結果として、そうなることを目指す旨、表現ぶりを修正する」との考えを示した。

 

また、「厚労省・政府としては、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望をもって日常生活を過ごせる社会を目指す」と述べ、「認知症の人や家族の視点を重視しながら『共生』と『予防』を車の両輪として推進していきたい」と強調した。

 

 出典:Web医事新報

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP