2019.05.29
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がんゲノム拠点、
望ましい新規患者数は3年で100人以上
厚労省WG、指定要件を了承

メディカルサポネット 編集部からのコメント

5月27日に第2回「がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」が開催され、「がんゲノム医療の提供体制」や「がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件」について意見が交わされました。現在、ゲノム医療を必要とするがん患者が、全国どこにいても、がんゲノム医療を受けられる体制整備が進められています。新設される、がんゲノム医療拠点病院については、第1回ワーキンググループの際に「治験及び先進医療の登録件数は、3年間で100件程度登録したことが望ましい」という意見が出ていました。治験・先進医療等の登録症例数別の施設数一覧によると、がんゲノム医療連携病院のうち、治験・先進医療の登録症例数が、50件以上ある医療機関は73施設、治験・先進医療の登録症例数が、100件以上ある医療機関は46施設です。

 

 厚生労働省の「がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」は27日の会合で、がんゲノム医療の「拠点病院」の診療実績に関する指定要件案を了承した。拠点病院での望ましい新規患者の登録実績は、申請時からさかのぼって過去3年間で100人以上とすることが決まった。【松村秀士】

  

「がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」(27日、厚労省)

 

 遺伝子情報に基づいたがんゲノム医療については、厚労省が整備した「中核病院」(11カ所)と、「連携病院」(156カ所)が協力し、患者がどこに住んでいても提供できる体制づくりを進めてきた。ただ、遺伝子パネル検査を受ける人の増加により、その検査結果を医学的に解釈するための専門家の検討会「エキスパートパネル」の開催などに中核病院で対応し切れなくなる恐れがあるため、厚労省は9月ごろに拠点病院を新たに約30カ所指定する予定だ。

 

 拠点病院に求められる診療実績については、4月の前回の会合で厚労省が「新規の患者を申請時点よりさかのぼって、過去3年の間に合計2人以上登録した実績がある」ことを要件案として示したが、「過去3年間で2人では、安全性の担保で問題が生じかねない」「新規患者が100人程度の登録が望ましい」といった意見が上がり、継続審議事項となっていた。

 

 27日の会合で厚労省は、現在の連携病院のうち、治験・先進医療などの登録症例数が50件以上の医療機関は全国で73施設、100件以上は46施設あるとのデータを示した上で、拠点病院に必要な登録件数について議論を促した。

 

 意見交換では、土原一哉構成員(国立がん研究センター先端医療開発センター・トランスレーショナルインフォマティクス分野長)が、厚労省が提示したデータに触れ、「(100件以上の登録を)クリアしている施設が思いのほか多い」とし、新規患者を過去3年間で100人以上登録するのはそれほど困難なことではないと主張した。中島貴子構成員(聖マリアンナ医科大教授)も、この登録人数は「妥当な要件だ」と指摘。こうした意見を踏まえて、その診療実績を拠点病院の指定要件とすることで合意した。

  

 また、小児がんの症例をエキスパートパネルで議論する場合、専門的な知識を持ち、同パネルに参加したことがある人を構成員に入れるほか、拠点病院を指定する際には質の担保や地域性、小児がん症例への対応を考慮することなどでも考えが一致した。

 

 

出典:医療介護CBニュース

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