2019.05.24
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総合診療専門医のサブスペとして「新・家庭医療専門医」を養成へ―日本プライマリ・ケア連合学会

メディカルサポネット 編集部からのコメント

2019年5月17日(金)~19日(日)に第10回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会が開催されました。18日の理事長挨拶で、総合診療専門医のサブスペシャルティ専門医として、「新・家庭医療専門医」を育成することが理事会決定したと発表しました。プライマリ・ケア診療、組織管理、地域に根差した学術活動の基盤を身に着けた、地域プライマリ・ケアのリーダーシップを発揮できる人材を養成します。また、世界家庭医機構(WONCA)の提唱する国際的なプログラム認証システムと連携して、世界標準の質保証を目指します。「新・家庭医療専門医」の研修は、開始に先立ち登録が必要です。既に総合診療の研修を開始している専攻医には移行措置も予定しています。

  

日本プライマリ・ケア連合学会の草場鉄周理事長は、18日に開かれた京都の学術大会で、新専門医制度の総合診療専門医について、学会が認定するサブスペシャルティ専門医として「新・家庭医療専門医」を養成することを明らかにした。2020年度からスタートする予定だという。

 

草場氏は、現在同学会が認定している「家庭医療専門医」について「基本領域の総合診療に相当するものとして運営してきた」と説明。新・家庭医療専門医では、サブスペシャルティ専門医として、「プライマリ・ケアのリーダーシップを発揮できる人材」と位置付ける。具体的には、「都市部・郡部にかかわらず、プライマリ・ケア診療、組織管理、地域に根差した学術活動を展開できる知識と技能を身に付ける」とした。

 

草場氏は新・家庭医療専門医について、「世界家庭医機構(WONCA)が提唱する国際的なプログラム認証システムの評価を受け、世界標準の質保証を目指していく」との考えを示した。

 

新たな仕組みを設けた背景について草場氏は、総合診療領域を選んだ専攻医が、2018年度、19年度ともに全専攻医の2%にとどまっていることや、専攻医採用数が18年度の184人から19年度は179人と減少していることを説明。「大変危惧すべき状況」と危機感を表明した。応募者が少ない理由としては、総合診療専門医の制度設計の不安定さや専門医取得後のキャリアパスの不明瞭さを挙げ、「(新専門医制度の)サブスペの議論もストップしている」と問題視。日本専門医機構との連携協力体制は続けるとしつつ、学会主導で「将来設計につながる多様なキャリアの枠組みを提唱していきたい」とした。

 

草場氏によると、サブスペ専門医の柱は3つ。新・家庭医療専門医のほか、日本病院総合診療医学会との連携のもと、「病院総合診療専門医」を養成するとしている。病院総合診療専門医は、外来・病棟・救急での幅広い診療能力や、他科・コメディカルと連携しながら病棟を管理・運営する能力、退院支援や地域連携を担う能力などを保証するとした。また、高い総合診療能力をベースに特定の領域(在宅、緩和医療など)を深める教育プログラムについて関係学会と作成し、サブスペとして提供する考えを示した。

 

制度の詳細については、7月中に理事会で決定する予定。9~10月にも募集をはじめ、来年4月からの研修開始を目指す。

 

若手医師の新たなキャリアパスについて説明する草場理事長

 

 出典:Web医事新報

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