2019.05.14
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辞めたい理由、半数近くが「人員不足で仕事きつい」
自治労連の自治体病院労働実態調査

メディカルサポネット 編集部からのコメント

日本自治体労働組合総連合が2018年9月~10月に実施した「自治体病院に働く職員の労働実態アンケート」の結果報告が発表されました。看護師の労働実態の厳しさは深刻化しています。4年前の同調査と比較しても、20時間以上の超過勤務の増加、有給休暇の取得率の低さ、勤務間隔8時間未満の多さなど、過酷な勤務が浮き彫りになっています。地域医療の充実に向け、労働条件の改善・向上が重要です。

  

 日本自治体労働組合総連合(自治労連)が全国の自治体病院で働く看護師などを対象とした調査では、仕事を辞めたいと「いつも思う」「ときどき思う」との回答の割合が7割を超え、そのうち半数近くが主な理由を「人員不足で仕事がきつい」と回答した。健康で働く上での改善点についても「人員の拡充」を求める意見が最も多かったことなどから、自治労連は13日に開いた記者会見で、適切な人員配置の必要性を訴えた。【吉木ちひろ】

  

会見の様子。左が鮫島医療部会議長(13日、厚労省)

  

 調査は2018年9―10月末に実施。23都道府県の97病院から1万2725人分の回答を得た。回答者の職種は「看護師」が8616人(67.7%)、「リハビリテーション技師」が600人(4.7%)、「臨床検査技師」が483人(3.8%)などの順で多かった。このうち、女性の割合は83.6%だった。

 

 調査結果によると、「9月の超過勤務」について「なし」(8.4%)以外を回答した1万1450人に「9月の超過勤務のうちサービス残業」を聞いた設問では、「5時間未満」が最も多く39.0%で、「なし」は26.1%だった。「5―9時間」も15.6%、「10―19時間」も10.9%あった。記述式の回答からは「ルーティーン以外の仕事(委員会など)が多く、それらは残業と書けない」「超過勤務を3時間以上しても、1回に記入できる時間は2.5時間と言われている」など労働基準法違反が常態化している実態がうかがえることから、自治労連の鮫島彰・医療部会議長は、「自治体および病院の危機感が薄く、実効性ある対応が遅れていることが浮き彫りになった」と指摘した。

 

 「仕事を辞めたいと思うか」については、「いつも思う」が20.1%、「ときどき思う」が51.9%で、「思わない」は20.3%、「わからない」は4.9%だった。「仕事を辞めたいと思う主な理由」(3つまで回答)では「人員不足で仕事がきつい」が47.6%で最も多く、以下は「賃金が安い」が30.7%、「休みが取れない」が28.3%などと続いた。調査では職員の31.1%が鎮痛剤を常用しながら働いているなど健康上の課題も明らかになっており、「健康に働く上で何を改善すべきか」については(3つまで回答)、「人員の拡充」が66.2%で最も多く、「業務量の削減」が38.6%でこれに続いた。

 

 1年前と比較した仕事量については「大幅に増えた」が23.6%、「若干増えた」が39.4%だった。会見に出席した都立病院に勤務する職員は、現場の実感について「在院日数の短縮が進んだことで入退院時の調整が増えている」などと説明した。

 

 出典:医療介護CBニュース

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