2020.03.23
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看護師定着に向けたヒント その4
~今日から実践!早期離職予防につながるコミュニケーション術~

そこが知りたい看護管理 vol.7

そこが知りたい看護管理 森田夏代さん メディカルサポネット マイナビ 

 

編集部より

看護管理者がどのような思いでスタッフをまとめ、組織を運営しているのか、管理職以外の看護師からはなかなか見えにくい面もあります。大きな責任を背負う一方で、やりがいも大きい看護管理者という仕事にどのように向き合っていけばいいのでしょうか。

本コラムでは、看護管理者として複数の病院を経験し、現在は大学院博士課程で転職者教育の研究を進める森田夏代さんが、自身の経験を踏まえ、皆さんの看護管理の「知りたかった」に応えます。

コラム第7回目は、看護師定着に向けたヒントシリーズその4をお届けします。新しいメンバーを迎える4月を前に、新入職者が長く働きたいと思えるコミュニケーション術や、経験者を受け入れる際に心掛けたいことについて、森田さんの研究データを交えながらお届けします。

 

執筆・写真/森田 夏代

編集・構成/メディカルサポネット編集部

3月も早いもので折り返し、関東では桜の開花宣言もありました。以前は入学式で桜が満開でしたが、近年では入学式は葉桜になりつつあります。今年は感染症の影響で卒業式や入学式の規模縮小や中止だけでなく、皆さんの職場も送別会や歓迎会・入社式も自粛ムードではないでしょうか。とはいえ、新年度は待ってくれません。新しいメンバーを迎えてスタートする4月を前に、入職した看護師さんの定着に向けたヒントについてお伝えします。

 

 

数年前に京都で愛でた桜です

 

「明日もこの職場に行きたい!」と思える「待っていました」の気持ち

新入職者と入職前からの関わりの大切さについて、以前、コラムvol.4で内定者にメッセージカードを贈ることを紹介しました。転職サイトの調査によると、新入職者の早期退職の理由は、「勤務条件や仕事内容が募集時と異なる」・「人間関係」・「待遇の違い」という結果が上位に上がります。その原因は説明不足やコミュニケーションエラーにあるのではないでしょうか?

 

新入職者にとって大切なことは「安心して明日も出勤してみよう」と思えることです。辞令交付や入社直後の事務的な挨拶は、社交辞令以外の何物でもありません。入社式やオリエンテーションが済んだ後の配属先で、ひとりひとりの看護職が「入社してくれてありがとう」「入社してくれるのを待っていたよ」「一緒にがんばろうね」と声をかけることが大切です。

 

そして、業務の中で、一緒に検査室に行ったり、手術室に行ったりする時には「今月、入社した〇〇さんです。一緒に頑張るのでよろしくお願いします。早く名前を憶えてくださいね」と、私たちが率先して紹介することをお勧めします。そうすると多職種の方も「新しい仲間ができた」「主任さんが紹介してくれるということは、検査室もチームの一員と思ってくれている。名前を早く覚えよう」と思わぬ連帯感が生れます。忙しい業務の中でのひと言や、組織の中での連帯感は、新入職者にとって「私を待っていてくれた」という確信に繋がります。オリエンテーションでの院内見学頼みにせず、日々の業務の中での紹介を積極的に進めていきましょう。

 

春の代名詞ともいえる、いちごのケーキがテーブルを彩ります

  

◆オリエンテーションで心がけたいこと・言ってはいけない言葉

経験者採用の場合、意識無意識にかかわらず「即戦力」として求めてしまう余り「こんなことも知らないの?」と思いがちです。

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