2019.09.06
5

悩み多き看護管理者、その解決に向けて

そこが知りたい看護管理 vol.1

看護管理者がどのような思いでスタッフをまとめ、組織を運営しているのか、管理職以外の看護師からはなかなか見えにくい面もあります。大きな責任を背負う一方で、やりがいも大きい看護管理者という仕事にどのように向き合っていけばいいのでしょうか。
本コラムでは、看護管理者として複数の病院を経験し、現在は大学院博士課程で転職者教育の研究を進める森田夏代さんに、自身の経験を踏まえ、皆さんの看護管理の「知りたかった」に応えます。

執筆/森田 夏代
撮影/和知 明(株式会社BrightEN photo)
編集・構成/メディカルサポネット編集部

 

皆様、はじめまして。

このコラムをご覧いただき、ありがとうございます。

 

読者の皆様の職位は、看護部長ですか?看護師長ですか?主任?係長?もしかしたら、これから将来、看護部長や看護師長になりたいと考えている方でしょうか?それとも看護師長さんになりたての方でしょうか?

背景は様々でも同じ看護師の仲間です。色々な立場の方、様々な病院や環境の方に読んでいただけると嬉しいです。

今回は、自己紹介代わりに少しだけ私の看護管理者としてのキャリアを、そして看護管理の学問的部分について紹介したいと思います。

 

 

 

◆ 看護管理者としての原点

 

私の看護管理者としてのスタートは、大学病院ICU/CCUでの主任として始まりました。同時に、臨地実習の実習調整責任者兼務でした。主任といっても一般職看護師(以下、スタッフ)とあまり変わらず月の半分近い日数の夜勤も、日勤ではリーダーもしていました。スタッフと主任は何が違うのかと考えた時に思い出すことがあります。

 

それは、当時の先輩師長(副看護部長)から「看護管理者は、患者さんと関われないつまらない仕事じゃないのよ。自分のやりたい看護を、スタッフに協力してもらって看護ができる仕事よ。ひとりじゃ、満足な看護を提供できる患者さんは少ないけど、スタッフの数だけ、沢山の患者さんに看護を提供できる仕事よ。言い換えれば、スタッフを通して、スタッフに協力してもらって、自分のやりたい看護が提供できる仕事よ」と言われたのを今でも覚えています。

 

私は「看護管理者は孤独で辛い仕事かもしれない。多くのスタッフが自分を受け入れてくれるのか不安」という気持ちでしたが、その言葉で目の前の曇りが少しだけなくなりました。「やりたい看護イコール患者さんに満足してもらえる看護」が提供できるポジションであり、今までの看護の延長であると理解できた時でした。

 

この先輩師長の言葉は、20年以上経った今でも私の看護管理の原点として時々、思い出されます。

 

その後、病棟管理主任(師長代行)や病棟師長となり、看護部で教育専任師長としての経験を積む機会に恵まれました。看護管理者として実績(成果)を出すことは簡単なことではありませんでしたが、それでも「やりたい看護イコール患者さんに満足してもらえる看護」が提供できると確信して努力をしました。

 

看護師長として勤務する中で、患者さんに満足してもらえる看護を提供するには、新卒看護師教育より、主任やこれから師長になる人の教育が必要なのではないかという疑問が生じ、大学病院を退職して、一般企業や医療法人総合病院で看護管理者としての経験を積みました。そして、大学院でも看護管理を専攻し、現在も研究という形で疑問の解決を進めています。

同時に大学教員として、将来の仲間である看護師を育てることにも関わっています。

 

ここまでお読みいただき、皆さんは「順風満帆でうらやましい」と思われる方や「中小規模病院じゃ無理」と思われる方、「実際に困っていることの解決方法を教えてほしい」と思われる方など、様々と思います。

次回からは、私の経験を具体的に事例として紹介しながら、看護管理について解説したいと思います。

 

 

◆ 看護管理の学問的背景について

  

看護管理とは1961年に「看護婦の潜在能力や関連分野の職員および補助職員あるいは設備や環境・社会の活動などを用いて、人間の健康向上のためにこれらを系統的に適応する過程である」とWHO西太平洋事務局主催の看護ゼミナールで定義付けられました。その後、日本看護協会は「臨床における看護管理とは、患者や家族に、看護ケア、治療への助力、安楽を与えるために看護職員が行う仕事の過程である。看護管理者は最良の看護を患者や家族に提供するために、計画し、組織化し、支持し、調整し、統制を行う」と定義しています。

 

そして、1992年から看護サービスシステムの効率化と質向上を目的として、認定看護管理者教育をスタートしました。これがファーストレベル・セカンドレベル・サードレベルという教育です。その後に、1998年に認定看護管理者制度が開始され、今では大学院で学問として教育も行われています。

しかしながら、小中規模病院では、看護管理者が臨床を離れて長期の研修に参加することは「時間的金銭的人員的な損失」という意識から、大規模病院からの研修参加者に偏る傾向にあります。(この解決策のヒントは今後、コラムの中でご提案する予定です)

  

このため、日本看護協会は2018年に【病院看護管理者のマネジメントラダー】を公開しました。このラダーは、病院組織の規模に関係なく、地域まで視野を拡げた看護管理を実践するために必要とされる能力を目標として可視化したものであり、病院看護管理者の計画的かつ段階的な育成のための指標として作成されています。このラダーを活用することで、個人で自己の立ち位置を確認したり、目指す看護管理者像を確認したりすることができます。日本看護協会のHPからダウンロードできますので、一度目を通してみてはいかがでしょうか。

 

このコラムを通して皆さんと一緒に看護管理について考えていければと思います。どうぞよろしくお願いします。

 

 

 

 

プロフィール

森田 夏代(看護師)
大学病院にて、主にクリティカル領域で一般職から看護管理者(病棟師長・教育専任師長)として約20年間勤務した後、一般企業や医療法人総合病院で副看護部長(看護部長代行)として勤務する。その後、大学院に進学し、看護管理の研究に取り組む傍ら、認定看護師教育センター・大学看護学科の教員として基礎看護教育と研究に従事している。看護が好きな看護管理者の育成を目指し、「キャリア中期看護師の転職支援と組織定着」を研究テーマに博士論文を進めている。

       

目次はこちらをクリック↑

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP