離職率は正規雇用10.9%、新卒7.5%で横ばい続く

「2018年 病院看護実態調査」結果報告

公益社団法人日本看護協会(会長・福井トシ子)が、病院看護職員の需給動向や労働状況、看護業務の実態などの把握を目的に毎年実施している「病院看護実態調査」。
2019年に発表された「2018年病院看護実態調査」では、例年調査している看護職員の離職率や給与の状況の他に、在宅医療を支える訪問看護体制の設備が課題となっていることから、病院における訪問看護機能の現状や今後の方向性などについても調査が行われました。
メディカルサポネット編集部では、調査結果の中から「看護職員の離職率」「今後の看護職員数の増減予定」「看護職員の給与」に着目してまとめました。正規雇用職員と新卒看護職員の離職率をみると、ともに過去5年以上横ばいで推移しています。給与面では、勤続10年・非管理職の中堅看護師の諸手当(時間外手当を除く)を含めた税込み給与総額がやや増加していることが分かりました。

編集・構成/メディカルサポネット編集部

調査概要

調査対象:全国の病院8,361施設(看護部長に回答を依頼)

調査期間:2018年10月1日~10月15日

調査方法:自記式調査票の郵送配布・郵送回収

回収状況:有効回収数3,634(有効回数率43.5%)

目次 

1.看護職員の離職率

①正規雇用看護職員・新卒看護職員の離職率の推移

②病床規模別 看護職員離職率

③設置主体別 看護職員離職率 

④都道府県別 看護職員離職率 

 

2.今後の看護職員数の増減予定

①今後の看護職員数の増減予定

②今後の看護職員数の増減予定(部門別)

 

3.看護職員の給与など

①夜勤形態

②夜勤手当

③新卒看護師の予定初任給

④勤続10年、31~32歳、非管理職の看護師の月額給与

 

 

1.看護職員の離職率/正規・新卒ともに横ばいで推移

①正規雇用看護職員・新卒看護職員の離職率の推移

2017年度における正規雇用看護職員の離職率は10.9%で、前年度比プラスマイナスゼロ。新卒看護職員の離職率は7.5%で、前年度比0.1ポイント減でした。正規雇用看護職員、新卒看護職員ともに、離職率は過去5年以上、ほぼ横ばいの状況が続いています。

 正規雇用看護職員・新卒看護職員の離職率の推移 (過去5年間) 

②病床規模別 看護職員離職率

病床規模別の離職率を見ると、正規雇用、新卒看護職員ともに「99床以下」「100~199床」の病院での離職率が高い傾向にあります。中でも新卒は、400~499床以下(6.4%)に対し、99床以下(13.1%)と、2倍以上のポイント差があり、小規病院での離職率が高い傾向が顕著です。

「500床以上」の病院では、新卒看護職員の離職率7.0%に対し、正規雇用看護職員の離職率は10.3%。3ポイント以上の差があり、新卒以外の職員の離職率が高いことがわかります。これらは例年とほぼ同様の傾向です。

 

病床規模別 看護職員離職率 

 

③設置主体別 看護職員離職率 

設置主体別に正規雇用の離職率を見ると、医療法人(13.4%)個人病院(13.1%)私立学校法人(12.5%)が相対的に高めです。過去2年の調査と比較すると、医療法人が13.3%、13.6%、13.4%とほぼ横ばいであるのに対して、個人病院は17.3%、14.2%、13.1%と減少傾向にあります。

新卒の設置主体別離職率は、個人病院(11.1%)公益社団法人・公益財団法人(10.6%)が相対的に高めです。個人病院は2017年度の調査(10.0%)から1.1%増えています。

 

設置主体別 看護職員離職率 

 

 

④都道府県別 看護職員離職率 

都道府県別での正規雇用看護職員の離職率を見ると、東京(14.5%)が最も高く、以下は神奈川・鹿児島(それぞれ13.4%)京都(13.0%)大阪(12.9%)の順で、大都市部で離職率が高い傾向があります。 

新卒の離職率を見ると、香川(11.4%)が最も高く、以下は滋賀(11.0%)青森(10.8%)の順で、地方の離職率が高い傾向にあります。

 

2017年の調査と比べて、正規雇用の離職率は順位に変動はあるものの、東京・神奈川・大阪の顔触れは同じ。鹿児島は2.3%、京都は1.3%、前年より増えています。

新卒の離職率が高い県は一新されていますが、地方の離職率が高い傾向は同じです。

 

都道府県別 看護職員離職率

(表3 都道府県別・看護職員離職率の表をもとにメディカルサポネット編集部で作成) 

 

 

2.今後の看護職員数の増減予定/8割が現状維持や増員の意向

①今後の看護職員数の増減予定

今後の看護職員総数の増減予定を見ると、全体では「今年度と同程度の予定」が5割「今年度より増やす予定」が3割、「今年度より減らす予定」との回答は3.2%にとどまりました。多くの病院が現状維持または増員したい意向であることがわかります。

病床規模別に見ると、「今年度より減らす予定」と回答したのは、400~499床(8.5%)が最も多く、500床以上(5.9%)と続いています。

 

病床規模別 今後の看護職員数の増減予定

  

②今後の看護職員数の増減予定(部門別)

部門別の看護職員の総数の増減予定を見ると、「増やす予定」と回答したのは「病棟部門」の37.8%が最も多く、次いで「退院支援・地域連携部門」の26.9%です。

 

今後の看護職員数の増減予定(部門別)(n=3,634) 

 

  

訪問看護部門の看護職員を「増やす予定」と回答した629病院(17.3%)には、▶100~199床の小規模病院が多い、▶自院の役割を「急性期や回復期、慢性期等複数の機能を持ち、地域のニーズに幅広く対応する」と認識している病院が多い、という特徴があります。

  

訪問看護部門の看護職員を「増やす予定」と回答した病院の病床数(n=629) 

 

訪問看護部門の看護職員を「増やす予定」と回答した病院の、自院の役割認識(n=629)

 

   

3.看護職員の給与など/中堅看護職の給与総額がやや増加

①夜勤形態

最も多くの看護職員に適用されている夜勤形態は「二交代制(夜勤1回あたり16時間以上)」で、57.8%を占めています。これは2017年度の調査より増加しています。

二交代制の場合の最も長い夜勤時間(業務開始から終了まで)を見ると、「16時間00分~16時間59分」が63.1%を占めています。

 

 

月平均夜勤回数は、二交代制では平均4.5回、三交代制では平均7.3回です。これらは2017年度の調査と比較して変化はありません。

 

月平均夜勤回数

 

夜勤手当

夜勤手当の平均額は、三交代制準夜勤で4,090円、深夜金で5,053円、二交代制夜勤で11,019円。2015年以降、ほぼ横ばいの状況です。

 

平均夜勤手当額の推移

 

新卒看護師の予定初任給

2019年採用予定の新卒看護師の予定初任給(諸手当含む)は、高卒+3年課程で263,551円、大卒で171,381円。2011年からほぼ横ばいの状況が続いています。

 

新卒看護師の予定初任給

  

勤続10年、31~32歳、非管理職の看護師の月額給与

「勤続10年、31~32歳、非管理職」の看護師の過去5年の調査を比較すると、平均基本給与額(244,446円)はほぼ横ばいの状況が続いているが、諸手当を含めた平均税込給与総額(322,111円)は、やや増加の傾向が見られます。

 

勤続10年、31~32歳、非管理職の看護師の月額給与

 

 

【参照】公益社団法人 日本看護協会 「2018年 病院看護実態調査」結果報告

 

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