2021.07.20
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ビジネスモデルの転換を実現するための3つの方向性

令和の薬局スタンダード ~コンサルティング会社が語る薬局経営~ vol.1

この薬局がすごい!  第15回「地域密着」地域に根ざすコミュニティ薬局の取り組み 株式会社アペックス

 

 

編集部より

新型コロナウイルス感染拡大が続き、保険薬局業界においては厳しい経営環境に直面しているケースもあるのではないでしょうか。超高齢化社会である日本の構造的問題も追い打ちをかけ、「処方箋応需サービス業」といった従来のビジネスモデルでは、ますます事業の継続が苦しくなっていく可能性があります。2021年(令和3年)8月には改正薬機法の施行もあり、地域密着型調剤薬局においては、「健康寿命延伸支援サービス業」等の本業を軸にしたビジネスモデルへの転換が求められます。これを推進するには、①業務効率化の推進、②アウトカムの明確化、③顧客関係性の強化 といった方向性が重要です。持続可能な経営を目指し、真に地域に選ばれる薬局になるために取り組むべきことを、経営コンサルティング会社である株式会社ネグジット総研に解説していただきます。

 

執筆/久保 隆(株式会社ネグジット総研)

編集/吉井 光洋(メディカルサポネット編集部)

  

「処方箋応需サービス業」は、顧客数・単価とも頭打ちに

 

この一年余りの間、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、保険薬局も厳しい経営環境に直面しています。実際に患者数減が生じており、厚労省の『最近の調剤医療費(電算処理分)令和2年度1月号』によると、令和2年4月~令和3年1月の総処方箋枚数は6億2,754万枚で対前年比10.5%減となっているのです。また、公表されている上場調剤専門チェーンにおいても減収減益ベースの会社が多くなっています。

 

しかしこうした新型コロナウイルスの感染拡大は、業界の構造的問題を浮き彫りにし、経営環境変化を加速させたことで、保険薬局市場は成熟産業に突入しつつあるのです。医薬分業率(処方箋受取率)は74%超(平成30年度日本薬剤師会発表)と飽和状態に近づきつつあり、市場を構成する「顧客数」という点から見ると、高齢者人口こそ2050年ごろまでは増加基調が続きますが、地域の人口は減少状態にあり、患者数・処方箋枚数も減少していくことが見込まれます。

 

一方、「単価」という視点ではどうでしょうか。75歳以上の国民一人当たりの医療費が、全年齢平均の約5倍となっており(図1)、高齢化が進む中では一見単価が上がって行くようにも思えます。しかし財務省は2020年10月の財政制度等審議会財政制度分科会の議論で、「国民負担の増加を抑制する観点からは診療報酬単価を抑制していくことが必要」「診療報酬改定が一定程度マイナスであったとしても、診療報酬改定総額は増加するため、医療機関の増収は確保される」 とし、調剤報酬にとどまらず診療報酬本体のマイナス改定をも示唆しています。加えて今後は新型コロナウイルス感染症対策の財政出動の影響も予想されるため、「調剤報酬の技術料単価が増える」ことは期待できそうにありません。「処方箋応需サービス業」といった従来のビジネスモデルでは、「ジリ貧」に陥りかねない状況なのです。

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