メディカルサポネット 編集部からのコメント国税庁がまとめた2021年6月までの1年間に実施した税務調査の不正発見割合で、病院などを含む「医療保健」が、4番目に高い業種だったことが分かりました。この不名誉なランキングに医療保健業の名が連なるのは、近年では珍しいそうです。一方で、コロナ補助金を背景に、病院の黒字化が目立っており、20年度の⼀般病院全体(介護収益2%未満)の「損益差額率」は補助⾦を含めるとプラス0.4%の黒字へ転じています。 |
法人税の申告漏れを指摘される医療機関などが目立っている。国税庁がまとめた2021年6月までの1年間に実施した税務調査の不正発見割合で、病院などを含む「医療保健」業が、「バー・クラブ」「外国料理」「美容」に次いで4番目に高い業種だった。新型コロナウイルス禍で、全体の調査件数が大幅に減少する中、国税当局は大口・悪質な法人を選び、調査を行っている。【川畑悟史】
国税庁によると、20年度に実施した法人への税務調査は2万5,000件で前年度比32.7%の水準だ。一方、国税当局が指摘した申告漏れの所得金額は同32%減の5,286億円で、調査対象の減少に比べ、落ち込み幅が小さい。コロナ禍を背景に調査件数を大幅に減らした分、「大口・悪質な不正計算などが想定される法人など対象に調査を実施した」(同庁)。
調査1件当たりの申告漏れの金額は2,116万円となり前年度の2倍超に。追徴税額は2.2倍の483万円だった。国税当局が調査を実施した法人の中で、不正計算があった割合は26.5%になり、前年度に比べ4.9ポイント増えた。
不正発見の割合が高い10業種の中で、病院などを含む「医療保健」業がワースト4位だった。この不名誉なランキングに医療保健業の名が連なるのは、近年では珍しいという。医療保健業での不正発見割合は36.7%で、全体の割合に比べ10ポイント以上高い。1件当たりの不正所得金額は1,146万円だった。
医療関連では、医療機器などのリース業などを含む「医療関連サービス」業が8位に。不正発見割合は33.3%、不正所得金額は1件当たり3,320万円だった。
コロナ補助金を背景に、病院の黒字化が目立っている。厚⽣労働省が21年11月に公表した医療経済実態調査の結果によると、20年度の⼀般病院全体(介護収益2%未満)の「損益差額率」は補助⾦を含めるとプラス0.4%の黒字へ転じている。
国税当局では7月から翌年6月までの1年間を1事務年度とカウントする。医療保健業が、不正発見割合でワースト4位となった20事務年度は20年7月から21年6月まで。この期間は緊急事態宣言などが発出され、国税当局では調査件数を絞り込んでいた。今後、調査件数は通常の状態へと向かうことが想定される。コロナ補助金により黒字に転じている医療機関は多いため、国税当局から申告漏れの指摘をされないよう、細心の注意が必要となる。
出典:医療介護CBニュース