2021.10.25
5

保険外収益も含めた顧客の囲い込みによる顧客関係性の強化

令和の薬局スタンダード ~コンサルティング会社が語る薬局経営~ vol.4

この薬局がすごい!  第15回「地域密着」地域に根ざすコミュニティ薬局の取り組み 株式会社アペックス

 

 

編集部より

持続可能な経営を目指し、真に地域に選ばれる薬局になるために取り組むべきことを、経営コンサルティング会社である株式会社ネグジット総研に解説していただきます。第4回は、保険薬局の顧客について考えます。本連載の第1回で、薬局が健康寿命延伸支援サービス業を推進するための3つの方向性を提示しました。第4回となる今回は、そのうちの1つである保険外収益も含めた顧客の囲い込みによる顧客関係性の強化について扱います。

 

執筆/津留 隆幸(株式会社ネグジット総研)

編集/メディカルサポネット編集部

 

保険薬局の「顧客」をどのように捉えるか?

当たり前だと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そもそも保険薬局の「顧客」は誰でしょうか。保険薬局を「処方箋応需サービス業」として捉えた場合は、薬を必要とする「患者」が第1に顧客として挙げられるでしょう。一方で、保険外サービスを含めた「健康寿命延伸支援サービス業」として捉えた場合は、顧客は「患者」だけに留まりません。現在薬を必要としていない、未来の患者層である「地域住民」まで広げて捉えることができます。

 

顧客との関係性強化に向けたアプローチを考える際には、顧客を広い視野で捉え、個々の顧客との関係性の濃淡に応じたアプローチ方法を検討することが効果的です。

 

 

 

 

愛顧顧客作りに不可欠な、認知顧客との関係性を段階的に高める取組み

個々の顧客関係性を分類する上で、「AMTULモデル」をご紹介します。AMTULは、長期的な愛顧顧客化を考慮した消費者購買モデルで、以下5つのレベルで顧客との関係性を分類しています。

 

「認知(Aware)」
「記憶(Memory)」
「試用(Trial)」
「本格的な利用(Usage)」
「愛顧(Loyalty)」

 

このAMTULモデルを保険薬局に当てはめたのが以下の図1です。

 

 

図1

 

 

 

最下層は、薬局を「認知(Aware)」「記憶(Memory)」しているものの未だ来局がない地域住民です。

 

次に、現在は健康者で過去に1度でも「試用(Trial)」したことがある方。

その次に、何かしらの疾患を抱えていて、頻度の大小あれど、定期的に「本格的な利用(Usage1・2)」がある患者。

 

最上層には、月1回以上来局いただく慢性患者や他科処方箋まで持参いただける患者、ご家族の処方箋まで取り扱う患者といった「愛顧(Loyalty)」顧客を示しています。

 

言うまでもなく、理想の顧客との関係性は「愛顧」で、「愛顧」顧客が多ければ多いほど収益は向上しやすくなります。とはいえ、どのような顧客も最初は「認知」していない状態からスタートします。愛顧顧客を増やすには、「認知」の顧客を増やすとともに、段階的に上位のレベルにステップアップさせるための取組みが求められます。

 

 

処方箋を持つ顧客層には、患者視点でのアウトカム創出を重点に

大きくは処方箋を持った患者である上位層(Loyalty~Usage1)と、処方箋を持っていない地域住民である下位層(Aware~Trial)に対するアプローチ方法に分けられます。

 

 

会員登録されている方のみ続きをお読みいただけます。

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP