編集部より

病院の現役事務長藤井将志さんが、病院で人事評価制度を運用してきた中で、どんなシステムでどんな失敗があったのか、うまくいっていないと判断して制度をやめた理由などを事例を挙げて解説します。

 

執筆/藤井将志(特定医療法人谷田会 谷田病院 事務部長 藤井将志)

編集/メディカルサポネット編集部

  

  

病院の形骸化した人事評価制度を運用ストップ

 筆者が9年前に事務長として病院に着任して、数ヶ月経ち直面したのが人事評価制度です。いわゆる一般的な評価シートがあり、理事長に回す前に事務長が考課する項目があります。

自己評価、所属長級の評価、事務長の評価、理事長の評価といった具合に、評価が決まっていきます。

 

当院は小さな病院で、250人程度の職員しかいません。それでも、全職員を把握して、しかも日々のパフォーマンスまで評価することはできません。それなのに、全員分の評価シートが事務長に届きます。結局、どうするかというと、所属長級までの評価を踏襲し、ひたすらシートにハンコを押すだけでした。

  

ちなみに、AEの評価がつき、A1万円、B5000円のボーナス加算が付与されます。それを数年やって、意義を見出せず、運用自体を止めてしまいました。

  

図表1:以前使用していた人事評価シートの一部

以前使用していた人事評価シートの一部

 

そこから、人事評価のあり方について勉強したり、他病院や他の組織で取り入れられていることを調べて、考えました。

 

当院が元々使っていた評価シートには、目標管理の項目とコンピテンシーの項目が分かれていて、コンピテンシーでは、例えば「リーダーシップを発揮しているか」といった評価項目があります。それを自己評価し、評価者研修を受けた所属長が評価し、部署間の均等が得られるように調整し、上位の職位が評価するという一般的な仕組みです。

 

フェアに人が他人を評価することはできるのか

目標管理の目標を設定する際や、コンピテンシーの評価をする際に、上司と部下の間でどのような思考が働くでしょうか。評価者研修を受ければ、本当に、人が他人をフェアに評価することができるのでしょうか?

 

例えば、行動特性やパフォーマンスが全く同じ部下が2人いるとして、ひとりはいつも気さくで、上司の言うことを聞き、飲み会などにも参加する。別のひとりは、結果として行動するのですが、まずは反論から入り、飲み会の場には参加しない。このケースで、2人を同じ評価にすることができるのでしょうか?筆者は、

 

 

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