

山口県下関市 医療法人豊愛会豊北病院
編集部より
都市部から過疎地などの人手が足りない地域へ、臨機応変に看護職の人材を紹介する「トラベルナース」という雇用形態・働き方は、ワクチン接種や療養者管理などの一時的なニーズが急増したコロナ禍でいっそうの注目を集めています。しかし、コスト面やどのような人材が来てくれるのか、既存の職員と溶け込めるか、など実際に導入してみなければわからないことも少なくありません。今回はマイナビ看護師「トラベルナース」によって採用課題を解決した医療法人豊愛会豊北病院の人事担当川﨑さんに、導入するまでに抱えていた採用課題、導入を決断するまでの流れ、そして導入後1年以上経過した現在の状況などをお話しいただきました。地方・都市部などのエリアに関係なく、産休代替や急な欠員補充でも活用いただけるトラベルナースが、皆様の採用課題解決の一助になれば幸いです。
取材・文/横井かずえ
編集・構成/メディカルサポネット編集部
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地域医療を支えるトラベルナース 医療法人豊愛会豊北病院
看護師の人手不足は全国的な問題ですが、過疎地域においては特に深刻な課題です。医療法人豊愛会豊北病院(山口県下関市)では、トラベルナースを導入することで、慢性的な看護師不足を解消することに成功しました。病院の活性化や長期的な経営面の安定など、トラベルナースはメリットが多いと話す同院の川﨑様に、導入の経緯や実際に導入してみた感想をうかがいました。
過疎地域における深刻な看護師不足
――トラベルナース導入前の看護師の採用状況を教えてください。
この辺りは過疎地域なので、もともと募集をかけてもなかなか集まらない状況がありました。そのため、常時、数名程度は多めに採用しておいて、急に退職するスタッフがいてもそれをカバーできるような体制を取っていました。しかし、次第にそれでも看護師不足が深刻になり、トラベルナース導入前は、人材会社を通じて募集をかけてもまったく集まらないという状況が続いていました。
――トラベルナースの採用について、当初、院内での反応はどうでしたか?
やはり誰もトラベルナースを使ったことがなかったので「え、それはいったいどういうもの?そのようなものを導入しても大丈夫ですか?」という反応が多かったです。
すでに働いている人とのハレーションを心配する声もありました。地方の過疎地域で人間関係が密なので、その中にポンと他所から人が入ってきて、すぐに受け入れることができるか心配という意見もありました。病院で働いているのは看護師だけではないので、ほかのスタッフも含めて調和が取れるかどうかも心配されました。
そこで「まずは、退職者が出た時に新しい人を採用するまでのつなぎとして利用してみては」と提案し、導入に至りました。トラベルナースは3カ月や6カ月単位などの契約になるため、「採用してみて、ダメだったらやめればいい」という手軽さも、導入に踏み切ることができた理由の一つです。
――トラベルナースの採用状況を教えてください。
1年半ほど前から導入し、今では常時、10人ほど採用しています。最も長い人はすでに1年ほど勤務していて、次回の契約も更新する予定です。
――実際に導入してみてどうでしたか?
すでに働いているスタッフに溶け込めるかどうかは、完全に余計な心配だったことがわかりました。トラベルナースはさまざまな職場を経験しているので、新しい職場に溶け込むのが上手な人が多いですし、受け入れる側も「遠いところから来たのだから、色々とサポートしてあげよう」という気持ちになります。そのためあっという間にスタッフ同士は馴染んでいました。
今では契約期間が終了して帰っていく時は「行ってきます」とあいさつし、それに対してスタッフも「行ってらっしゃい、また帰ってきてくださいね」と見送るほどです。

右下が医療法人豊愛会豊北病院人事担当の川﨑さん
ボーナスや有休が不要で、経営計画やシフトが組みやすいのがメリット
――導入する前と後で印象が変わったことはありますか。
トラベルナースはコストがかかるという印象でしたが、トータルで考えるとそうでもないことがわかりました。月単位で考えると確かに割高かもしれません。しかし、夏と冬にボーナスを別途、計上する必要がないため、経営計画はかえって立てやすいことがわかりました。
また、有給休暇がないためシフトが組みやすい点もメリットです。有給休暇は就業から6カ月経つと付与する必要がありますが、トラベルナースは3カ月や6カ月単位の契約のため、有給休暇が発生しません。3カ月や6カ月が経過して、どうしても人が足りない場合は「もう半年、更新してもらえませんか」などの交渉もできるため、以前のように余分に採用しておく必要もないのです。こうして考えると、トータルでは経営的にもメリットが大きいことがわかりました。
――経営面でのメリットが大きいのですね、ほかには何かありますか。
院内の風通しが良くなりました。病院はどうしても閉鎖的になりがちですが、トラベルナースは全国各地から来るため、病院内に新しい風が吹き込みます。
互いに得意分野を教え合うことで、よい意味での刺激が生まれることもメリットです。当院は療養型の病院であり、スタッフの出入りもそれほど活発ではありません。そのため院内のやり方などがどうしても固定化してしまう傾向がありました。そこに、急性期やコロナ対応をした病院など、各地からさまざまな経験を持つトラベルナースが来ることで、お互いに得意なことを教え合って、よい刺激が生まれました。
年齢層が若返ることもメリットの一つです。トラベルナースで入職する人は若くて活動的な人が多く、院内が活性化されます。高齢者の患者さんも、若くて元気なスタッフが増えるとうれしそうです。
――反対に、デメリットはありますか。
若い看護師が多いので、技術面では未熟なこともあります。当院は療養型で、それほど高度な手技を必要とするわけではありませんが、急性期などで高度な技術を必要とする場合は、教育スキームが必要になると思います。
寮などを完備する必要があるので、その点をデメリットと捉える病院もあるかもしれません。また、年間で考えればそれほど違いはありませんが、月単位で見るとやはりコストが高いです。当院はほかのコストを圧縮して人材に投資する方針なので想定内ですが、病院の考え方によってはコストがデメリットになると思います。
――トラベルナースとして応募してくる人はどのような人が多いですか。
地域医療に興味を持っている人、そして第一線で活躍していて、少しゆっくりしたいという人の2つに大別される印象です。当院は働き方改革の一環で、週休3日制を取り入れています。そのため、第一線でバリバリ働いていて、少し休みたいけれど、キャリアを中断させたくないという人が応募してくれるケースが多いです。
また、海外留学などを目指していて、語学を学びながら働きたいという人もいます。当院は福利厚生で無料の英会話レッスンを受けられます。そのため海外を目指す看護師からも喜ばれています。

下関市 トラベルナースの中には「海の近くに住みたい」という条件で求人を探している方も多い
採用前から採用後までの充実したフォローが決め手
――さまざまな類似サービスがある中で、マイナビのトラベルナースを選んだ理由を教えてください。
採用前から採用後まで、一貫したサポート体制が充実していることです。当院では初めから「〇月までに〇〇人を採用したい」と希望を伝えています。するとその目標に向かって、マイナビ担当者が私たちと一丸になって、採用のための戦略を練ってくれるのです。これは、他社にはない安心感でした。
例えば当初、採用を希望してもなかなか人が集まらない時期がありました。そのときも職場カルテという採用のためのツールの改善をアドバイスしてもらい、それに従ったところ、全国から応募が集まりました。
採用後のフォローも充実しています。例えば、元気がないなど少し様子が気になる看護師がいたら、そのことを担当者に伝えると、それとなく悩みを聞き出して不安なく働けるようにサポートしてくれます。このように採用前から採用後まで一貫してフォローしてくれるのは、マイナビならではの強みと感じています。
――最後に導入を迷っている病院へメッセージをお願いします。
当院のような過疎地域では、看護師が集まらずに病院運営に支障が出ているケースもあると思います。そのような場合、トラベルナースは大きな力になります。トラベルナースの活用で地域医療を支えることができれば、患者さんにも病院にも大きなメリットになるのではないでしょうか。
医療法人豊愛会 豊北病院
■設立:1997年9月
■代表者:理事長 入船龍也
■本部所在地:〒759-5101 山口県下関市豊北町大字粟野2397
下関市豊北町唯一の病院(診療所を除く)として、地域の医療を担っています。看護職不足により一時医療サービスの収縮を余儀なくされたものの、〝医療サービスの質の向上〟を日々研鑽することを掲げ、改善施策の第一弾として、公私の充実を図る目的から週休3日制を導入しています。トラベルナースには自己負担なしの職員寮(家具家電、寝具などの整備あり)や病院までの送迎も約束するなど、受け入れ態勢も整えています。
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