2019.04.11
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患者から医療者へのハラスメント、対策を医療機関の義務に
―日看協が要望書提出

メディカルサポネット 編集部からのコメント

患者にとって医療関係者は、最も頼れる人です。とはいえ、不安やストレスまでぶつけてしまうケースが問題になっています。日本看護協会はハラスメントの防止策の推進を求めて、根本匠厚生労働相宛に要望書を提出しました。ハラスメントの実態は日本医療労働組合連合会青年協議会が昨年度実施した「青年ハラスメント調査」からもうかがえます。同調査によると、医療・介護・福祉職場で働く3人に1人がハラスメントを受けていて、そのうち半数はハラスメントをきっかけに退職を考えているそうです。より良い医療のためには、医療関係者が安心して働ける環境が必要なことは言うまでもありません。すべての就業先でハラスメント対策の実施が急要です。

   

日本看護協会(日看協)は10日、医療現場におけるハラスメント防止対策の推進に関して、根本匠厚生労働相宛に要望書を提出したと発表した。改正労働施策総合推進法に基づく指針で、患者等によるハラスメントから医療従事者を守るために医療機関(事業主)が講じるべき措置を明確化し、早急に義務化するよう求めている。

 

政府が今国会に提出した労働施策総合推進法改正案では、職場におけるハラスメント対策の実施を事業主に義務づける規定が盛り込まれているものの、顧客から従業員へのハラスメント対策については義務化が見送られた。日看協の要望書は、患者・家族から看護職員等へのハラスメントが深刻化し、医療従事者が安心して働くことが難しくなっているとして、追加的対応を求めたもの。

 

要望内容には、▶患者・家族によるハラスメントの対策に取り組む医療機関の支援、▶医療従事者へのハラスメント防止に関する国民への啓発、▶「国、自治体、事業主等が患者・家族等から看護職員へのハラスメント対策に取り組むこと」の法令への明記―も盛り込まれている。

 

要望書は9日に、福井トシ子会長らから髙階恵美子厚労副相へ手渡された。日看協によると、髙階副相は患者・家族からのハラスメントが医療安全を損ね、職員の離職や労災につながっているとの認識を示した上で、「法改正後に示す指針で事業主が行うべき対策を具体化し、例示する」などと述べ、実現に前向きな姿勢を見せたという。

 

 

 出典:Web医事新報

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