2018.09.21
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インフルワクチン不足に備え医療機関が「自衛策」
厚労省の説明を疑問視、かかりつけ患者優先へ

メディカルサポネット 編集部からのコメント

インフルエンザのワクチンが品薄となり、集団予防接種ができなくなっているケースが出てきました。品薄という情報だけに踊らされると、予防接種を求める人のパニックが発生する恐れがあります。まずは情報提供と供給情報のシェアによって、現場での混乱を防ぎたいものです。落ち着いて、正確な状況確認を心がけてください。

 

 インフルエンザの本格的な流行シーズンを前に、ワクチン不足で予防接種を中止する医療機関が相次いでいる。特に東京都内では、まとまった数量を確保することが困難な状況で、職場での集団予防接種を断る医療機関が増えている。昨シーズンと同じようにワクチンの供給量が少ないとの指摘が出ているが、厚生労働省や製造販売会社は供給不足を解消できる具体的な時期などの公表を控えており、医療現場で混乱が広がりつつある。【新井哉】

 

インフルエンザ予防接種ワクチンが「品薄な状態」などと伝える町田市民病院の「お知らせ」

 

■都内の公立病院、「ワクチンが品薄な状況」

 

 「ワクチンが品薄な状況のため、大人を対象としたインフルエンザ予防接種を一時中断させていただきます」。町田市民病院(東京都町田市、447床)は5日、予防接種に関する「お知らせ」をホームページに掲載した。都内では、同病院と同じように、接種や予約の受け付けを一時中止したり、小児を優先したりする動きが広がっている。

 

 職場などで行われる集団予防接種にも影響が出ている。企業の本社が集中している港区では、大企業だけでなく、数十人規模の中小企業の集団予防接種についても「ワクチン不足」を理由に断る医療機関が少なくない。安定的にワクチンを確保できるか見通せないため、1日当たりの接種回数を制限せざるを得ないからだ。

 

 医療機関へのワクチン納入について、製造販売会社の関係者から情報を得ている医療機関は「予約再開のめどは12月」と説明している。昨シーズンの納入実績を基にワクチンの数量を割り振られるケースもあるようだ。都内の医療関係者は「MR(医薬情報担当者)からワクチンが不足した昨シーズンの実績と同じくらいの数量を示されており、例年よりも確保できる数量が少ない」と打ち明ける。

 

■「受診歴」ある人に限定、高齢者優先も

 

 ワクチンの供給が不安定な地域では、「自衛策」として予防接種の対象者を絞り込む動きが出てきた。接種する人数を制限し、65歳以上の人を優先したり、「数に限りがある」として「受診歴」のある人に限定したりしている。

 

 インフルエンザの流行拡大に伴い、今後、予防接種の希望者が増えることが見込まれる。ワクチン供給体制に対する不安から、本格的な流行が始まる前に接種希望者が医療機関に殺到する「駆け込み接種」を防ぐため、厚労省や自治体、製造販売会社は、品薄の状態を解消できる時期や公的な医療機関への納入見込み、在庫のある医療機関などの情報を積極的に開示する必要がありそうだ。

 

 

 出典:医療介護CBニュース

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