2021.04.30
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2021年度実施の新型コロナ感染拡大防止事業─発熱外来対応の指定医療機関に最大100万円【まとめてみました】

メディカルサポネット 編集部からのコメント

新型コロナウイルス感染症に対する公的支援事業のうち、全保険医療機関が申請可能なものを、日本医事新報社がまとめています。2020年度から実施されている「新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金」が継続されるため、その内訳や、補助の対象となる設備購入費用などを解説しています。また申請の対象期間は2021年4月1日から9月30日までとなっています。

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の変異ウイルスの蔓延を受け、4月25日に3回目となる緊急事態宣言が発令された。大阪を中心に全国に広がりつつあるN501Y変異を有する英国型変異ウイルスは特に感染力が強く、ワクチン供給の遅れもあって日本国内は今までにない危機的状況にあり、医療機関では感染拡大防止策や医療提供体制の確保が引き続き重要課題となっている。本欄では全保険医療機関が申請可能な2021年度の公的支援事業について解説する。

 

COVID-19の感染拡大を受け、2020年度は患者受入病床を確保するための補助や、資金繰りを支援するための無利子・無担保の融資を行うなど、大規模な財政支援が実施された。2021年度に入り、より感染力の強いウイルスによる「第4波」が到来、医療機関を取り巻く環境はさらに厳しい状況にあり、継続的な公的支援が求められている。

 

こうした状況を踏まえ、厚生労働省は緊急的臨時的な対応として、都道府県の指定を受けた「診療・検査医療機関(仮称)」の発熱患者等に対する診療・検査体制の確保や医療機関・薬局等の医療提供体制の確保を図るため、対象医療機関等の感染拡大防止対策等に要する費用を補助する「新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金」を2020年度に引き続き21年度も実施する。

 

 

補助金の上限はクリニックで25万円

同補助金は、感染防止対策に取り組む保険医療機関などにおいて、感染拡大を防ぎながら、地域で求められる医療を提供することができるよう、感染防止対策等の支援を行うことを目的としている。窓口は厚労省で、事業規模は1070億円となっている。感染拡大防止対策に関する費用にとどまらず、院内での感染拡大を防ぎながら地域で求められる医療を提供するための診療体制確保に必要な費用が幅広く対象となり、すべての保険医療機関や薬局が申請できる点に特徴がある。

 

対象となるのは、原則として、「20年度新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金」による補助を受けた医療機関等以外。ただし、20年度補助金の申請日以降に新たに「診療・検査医療機関(仮称)」の指定を受けた医療機関については、20年度補助金の補助基準額(上限額)が21年度補助金の補助基準額(上限額)より低い場合、差額の申請をすることができる。診療・検査医療機関とは、都道府県の指定に基づき発熱患者等を対象とした外来体制をとる医療機関を指す。

 

補助基準額(上限)は、診療・検査医療機関が100万円、病院・有床診療所(医科・歯科)が25万円+5万円×許可病床数、無床診療所(医科・歯科)が25万円、薬局、訪問看護事業者、助産所が20万円。2020年度第2次補正予算で実施された「医療機関・薬局等における感染拡大防止等の支援」の補助を受けた医療機関も補助対象となる。新型コロナウイルスを巡っては、似た名称の医療機関向け支援事業が複数存在するため、厚労省や都道府県のWebサイトなどで自院が申請可能かどうか確認してほしい。

 

従前から勤務する職員の人件費以外が補助対象

対象となる経費の要件は、「従前から勤務している者および通常の医療の提供を行う者に係る人件費」を除く、感染拡大防止対策や診療体制確保のためにかかるもの。日常業務に要する消耗品費(固定資産に計上しないもの)・材料費(衛生材料、消毒薬など)、換気のための軽微な改修(修繕費となるもの)、水道光熱費、燃料費、電話料、インターネット接続等の通信費、休業補償保険等の保険料、受付事務や清掃の人材派遣料・外部委託費で従前からの契約に係るもの、日常診療に要する検査外注費、既存の施設・設備に係る保守・メンテナンス料、既存の診療スペースに係る家賃、既存の医療機器・事務機器のリース料などが申請可能だ。HEPAフィルターの付いていない空気清浄機、医療用でない一般用の空気清浄機の購入費用も補助の対象になる。

 

申請は郵送で9月30日まで

対象期間は、2021年4月1日から9月30日までとなっている。同補助金は21年度の補助金事業のため、20年度の経費は対象外となる。

 

申請は郵送で行い、期間は9月30日の当日消印まで有効。申請日以降に発生が見込まれる費用も合わせて概算で申請することが可能。概算で申請した場合、事業終了後に実績報告が求められるため、領収書等の証拠書類を保管する必要がある。同補助金の問い合わせは、厚生労働省医療提供体制支援補助金コールセンター(0120-336-933)まで。

 

20年度の慰労金、交付額は4618.9億円

COVID-19の感染拡大を受け、政府は感染拡大防止や医療提供体制の確保のため、2020年度の補正予算や予備費などを活用した「緊急包括支援事業」を2020年から実施してきた。表は支援事業のうち、強い使命感を持って業務に従事している医療機関等の医療従事者や従業員に対して、「感謝の気持ち」とともに給付するという趣旨に基づき実施された「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業」の交付状況。

 

 

慰労金は3類型あり、「都道府県から役割を設定された医療機関等」のうちCOVID-19患者を受け入れた医療機関等に勤務している場合は20万円、COVID-19患者の受け入れがなかった医療機関等の場合は10万円、それ以外の保険医療機関や指定訪問看護事業者の訪問看護ステーション、助産所で患者と接する業務に当たっている場合は5万円。

 

最も多いのは東京都の491.8億円。次いで多いのは大阪府の334.5億円、神奈川県の292.3億円、北海道の290.6億円、愛知県の235.7億円など。交付額は3月31日時点で4618.9億円となった。

 

 

出典:Web医事新報

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