2025.07.25
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vol.2 介護職員の定着率アップに効果的な取り組みとは?

5分で読めるポイント解説 介護職白書2024

介護職白書2024

 

 

編集部より

前回の記事では、介護職員の労働実態についてご紹介しました。

「現在活躍する職員の離職を防止するための工夫は、具体的に何をすれば良いのだろう?」「職場環境をどう変えたら良いのだろう?」と、疑問が生じた方も多いと思います。

今回の記事では、事業者側の取り組み実態を明らかにし、「労働環境の改善策や人材を定着させるための工夫」について、「介護職白書2024年度版」のデータをもとに詳しくご紹介します。

 

編集・構成/メディカルサポネット編集部

 

事業者の取り組み状況

前回は、介護職員の転職・就業動向の調査結果について紹介しました。

そこで今回は介護職員の定着率を上げるための事業者の取り組みについて紹介します。

 

以下は、介護職白書2024年度版における、退職・転職動向に関する調査結果です。

 

労働環境改善・定着のための取り組みの現状

労働環境改善・定着のための取り組みの現状  

介護職員の労働環境改善・定着のために何らかの取り組み(人員の確保・勤務シフト・業務効率化・待遇改善など)を実施しているか尋ねたところ、以下のような回答となりました。

  • 「実施している」60.4%
  • 「実施を予定・計画している」12.9%
  • 「取り組む必要があるが、余裕がなく実施できていない」24.9%
  • 「取り組む必要があるが、大きな問題となっていないので実施していない」1.8%
  • 「取り組む必要がないので実施していない(すでに働きやすい環境である)」0.0%

  

全事業者が介護職員の労働環境改善・定着のために何らかの取り組みが必要としていますが、そのうちの約4分の1は実施の予定・計画まで至っていません。

  

では、実施している事業者は、具体的にどのような施策を講じているのでしょうか。

  

労働環境改善・定着のための具体的な取り組み

労働環境改善・定着のための具体的な取り組み

介護職員の労働環境改善・定着のために何らかの取り組みを「実施している」「実施を予定・計画している」と回答した165事業者に、どのような取り組みを実施/計画しているか尋ねたところ、上位に以下が挙げられています。

  • 教育・研修・スキルアップ支援」67.3%
  • 「賃金引き上げなどの待遇改善」62.4%
  • シフトの組み方など、勤務形態の工夫」57.6%
  • 「時間外労働の削減」55.8%
  • 「休暇の取得促進」53.3%

  

また、介護職調査では介護職は上司や同僚との人間関係に最もストレスを感じていることが示されていますが、「職員間のコミュニケーションの活性化・円滑化施策」は42.4%、「LGBTに関する配慮」は6.7%にとどまっています。

 

効果が高いと感じている取り組み

効果が高いと感じている取り組み

 

では、実際にはどのような取り組みが、効果が高いのでしょうか。介護職員の労働環境改善・定着のために何らかの取り組みを「実施している」と回答した136事業者に、実施しているもののうち、どの取り組みの効果が高いと思うか尋ねたところ、上位に以下が挙げられています。

  • 賃金引き上げなどの待遇改善」47.1%
  • 時間外労働の削減」34.6%
  • 十分な介護職員数の確保」33.8%
  • シフトの組み方など、勤務形態の工夫休暇の取得促進」33.1%
  • 教育・研修・スキルアップ支援」31.6%
  • 職員間のコミュニケーションの活性化・円滑化施策」30.1%

 

本調査の自由回答欄に寄せられた実例には次のようなものがありました。

 

介護職員の我慢と犠牲で施設は成り立っている。しかし職員は奴隷ではない。利用者とその家族、看護師、医師その他は介護職員を見下している人が多い。その考えや体質を変えなければ、今後も介護職員は減り続けると思う。

■ 配置人数の基準を見直して欲しい。政治家の方々には、都心の一部の高級な施設ではなく、職員が不足していてナースコールがずっと鳴っているような、よくある一般的な施設をもっと視察して欲しい。できれば夜勤帯も含めて長時間。お客様を迎えるような態勢を整えた施設を短時間視察や見学しただけでは、現場の実態は理解できないと思う。

福祉の仕事は給与が安いですが、安い給与でも払う価値が無いと思えてしまう人が多いと感じる。会社も職員も収入を増やしたいなら、それに見合う仕事に対する取り組みをしなければと思う。福祉の仕事は生産性が無いと言われるが、福祉があるから仕事に行けるなど、生産性の向上に貢献していると思うので、国の制度などを改善して欲しい。給与のベースが上がらないと良い人材は集まらないと思う。

一般的な会社員と同レベルの給与と福利厚生、体調を崩した時に休める体制を作って欲しい。介護する人が元気で楽しく仕事ができたら、サービスは向上し、受ける側の高齢者も幸せだと思う。

    

 

まとめ

本記事から読み取れるように、介護職員の定着率を上げるためには、賃金引き上げなどの待遇を改善することはもちろん、時間外労働の削減によって各スタッフへの負担が減るように働きかけることが重要であることがわかりました。

 

では、職員採用のために、事業者はどのような採用活動の工夫をしているのでしょうか。

次回も介護職員白書のデータをもとに、採用活動の状況や工夫を読み取っていきます。

 

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介護職白書2024

 

 

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