2019.03.29
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東京都医、五輪の麻疹対策でボランティアへのワクチン接種を提唱

メディカルサポネット 編集部からのコメント

平昌オリンピックでは、ボランティアを含む8万人の関係者に対し、結核の検診や髄膜炎ワクチンを接種しました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックはボランティアだけでも「東京都都市ボランティア」と「大会ボランティア」合わせて11万人という規模です。費用だけでなく、ワクチンの増産など、多方面への働きかけが必要になります。オリンピック期間は海外からも選手・メディア・ボランティアが来日し、一日当たり90万人もの観客動員も予想されています。十分な感染症対策が必要です。

   

東京都医師会は26日の会見で、2020年東京五輪・パラリンピックに向けた麻疹対策として、大会を支えるボランティアを採用する際に抗体検査を行い、抗体陰性または低値の者に予防接種を実施することを提案した。鳥居明理事は「大会期間中に大規模な集団感染が発生すれば、大会自体が中止に追い込まれる可能性もあり、早急な対策が必要だ」と強調。今後、対策の実現に向けて都に要望を行うほか、日本医師会などを通じて厚生労働省や全国の自治体にも働きかけたい考えを示した。

 

東京五輪・パラリンピックでは、空港や都内主要駅で観光案内などを行う「東京都都市ボランティア」(約3万人)と、競技会場や選手村で大会運営に直接関わる「大会ボランティア」(約8万人)が活動する見込み。また、観客動員数は1000万人を超えると予想されており、輸入症例を発端とする麻疹の流行拡大が危惧されている。

 

東京都医の提案は、ボランティアの採用規定に麻疹含有ワクチンの接種歴の確認がないことを勘案したもの。ボランティアの採用に当たって「母子手帳や診断書等の記録によって麻疹単独ワクチンまたはMRワクチンの2回接種歴を確認するか、十分な抗体価を持つかを条件としてはどうか」と提起。大会関係者と選手にも抗体検査を行い、必要な者にワクチン接種を行うべきとしている。

  

早急な麻疹対策の必要性を訴えた東京都医の鳥居理事

 

出典:Web医事新報

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