2025.07.30
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管理薬剤師がいない?任命に悩んだときに知っておきたい要件・人物像・任命時のポイントをまとめて解説

薬局経営コラム

    

編集部より

調剤報酬改定のたびにマネジメントの工夫が必要となる薬局や調剤併設ドラッグストア。「物」から「人」へのシフトが鮮明になり、地域の医療情報集積とコミュニケーションを担う役割も求められています。

地域社会や患者さんのニーズを満たす新しい試みを続けていくためにも、薬局は安定した経営を続けていくことが必要と言えるでしょう。

 

薬局運営において欠かせない存在である「管理薬剤師」。いざ任命する段階になると「誰を選ぶべきか」「どのような要件を満たしている必要があるのか」など、悩むことも多いのではないでしょうか。

本記事では、管理薬剤師が担う具体的な役割や法的要件、ふさわしい人物像、任命時のポイントについて詳しく解説します。

 

執筆/篠原奨規 管理薬剤師 薬局グループ エリアマネジャー補佐

編集/メディカルサポネット編集部

  

パソコンを確認しながらメモを取る薬剤師  

 

  

   

1.管理薬剤師の役割

 

薬袋と錠剤のシート

  

管理薬剤師は調剤業務に加えて、医薬品や設備の管理、スタッフのマネジメントなど管理者としての役割を果たさなければなりません。

はじめに、管理薬剤師の役割を解説します。

 

医薬品や設備の管理

管理薬剤師は、医薬品や設備の管理において中心的な役割を担います。

薬局で取り扱う医薬品について、不備がないかを確認するとともに、品質の維持に努めなければなりません。

 

特に温度や湿度の影響を受けやすい医薬品は、冷蔵庫内の温度確認や遮光の対応など、保管環境の管理を行います。

また、麻薬や向精神薬、覚せい剤原料など、管理が厳しく定められている医薬品については、在庫数や入庫状況、保管状況を記録し、正しく管理する義務があります。

 

スタッフのマネジメント

管理薬剤師は、スタッフの業務を把握し、適切に薬局運営が行われているかを管理します。

スタッフの接客対応や衛生管理、調剤手順などが法令に則っているかを確認するだけでなく、必要に応じて指導を行う場面もあるでしょう。

 

特に薬学の知識が少ないスタッフや経験の浅い薬剤師には、日頃抱えている疑問や不安を聞き取り、知識やスキルの向上を促します。

また、医療制度は頻繁に見直しが行われるため、調剤報酬や保険制度に関する最新情報を把握し、業務上のポイントや注意点をスタッフに周知します。

 

医薬品の適正使用に向けた情報収集・提供

管理薬剤師は、医薬品が安全かつ適正に使用されるよう、情報収集・提供に努めなければなりません。

緊急安全性情報など、有効性や安全性に関する最新の情報を把握し、必要な内容をスタッフ全体で共有できる体制を整えます。

 

万が一、副作用が起きた場合には、患者さんへの対応だけでなく、処方元の医療機関や医師への連絡、厚生労働省などへの報告を行う必要があります。

 

2.管理薬剤師の要件

 

女性薬剤師が患者に薬の服用方法を説明している様子 

管理薬剤師を選任する際には、法的要件を正しく把握しておきましょう。

 

基本的な要件として「薬局での実務経験が5年以上あること」「薬剤師認定制度認証機構などが認証する認定薬剤師を取得していること」が求められます。

これらの要件は法律に定められたものではありませんが、「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」において推奨されているものであり、管理者としての責任を果たすために必要な能力や経験を身につけている基準を示すものです。

実務経験が5年未満の薬剤師を任命する場合には、管理者としての資質や適性について、第三者にも納得してもらえるような説明が必要となるでしょう。

 

加えて、管理薬剤師は「自らその薬局を実地に管理しなければならない」と定められています。

勤務時間について明確な基準はないものの、一般的には1日8時間、週40時間程度の勤務が必要と考えられます。

 

また、管理する薬局以外での業務は原則禁止されており、薬剤師としての副業や他店舗との兼務はできません。

 

地域支援体制加算を算定する薬局の場合

地域におけるかかりつけ機能の役割を果たし、地域医療に貢献する薬局を評価する加算として「地域支援体制加算」があります。

本加算を算定する場合、管理薬剤師が以下の要件をすべて満たしている必要があります。

 

 

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