2019.09.24
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第14回「消費税のインボイス制度導入は日本の商慣習を変える?」

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2019年10月1日から消費税軽減税率が導入され、日本初の複数税率制になります。前回は軽減税率について取り上げましたが、今回も引き続き消費税がテーマです。
 
 今回取り上げるのは「インボイス制度」(適格請求書等保存方式)です。導入は、2023年10月1日からであり、まだ先とも思えますが、その影響は日本の商慣習を大きく変えるものです。
 
 そもそもインボイス制度導入は2017年税制改正で決定済みですが、なぜ国税庁は実施をそんなに先送りにしたのでしょうか? 理由は、インボイス制度導入による混乱があまりにも大きいため、ある程度の時間が必要との判断があったからです。

第14回「消費税のインボイス制度導入は日本の商慣習を変える?」

    

「インボイス制度の概要」

 2023年10月1日から、消費税の仕入税額控除の要件として、「適格請求書」を保存していることが求められます。この「適格請求書」の発行には、申請して登録を受けなければいけません。適格請求書には、登録番号の印字が必須になります。さらには、免税事業者は、適格請求書発行事業者の登録ができません。

 

 非常に短い簡単なルールですが、この重大性が読み取れるでしょうか?

 

 消費税原則課税の事業者は、これまで請求書、領収書の相手方の「消費税の申告の有無」には関係なく、仕入税額控除が可能でしたが、インボイス制度導入後は「適格請求書」がないと仕入税額控除ができなくなります。

 

 「仕入税額控除」の用語になれないとピンときませんね。言い換えれば、消費税計算において、明らかに支払っていても、相手先が税務署に申請した登録業者として発行した請求書や領収書でないと経費にならなくなります。

「インボイス制度導入後の影響は?」

 インボイス制度導入によりもっとも大きな影響受けるのは、零細事業者です。

 

 これまでは、消費税を申告する必要がない免税事業者でも「消費税を請求してもよい」とされてきました。例えば免税事業者であるレストランで会食をして10,800円(うち消費税800円)の領収書を受け取っても、支払った側は消費税申告時に800円の仕入税額控除が可能でした。

   

 では、インボイス制度導入後、そのレストランは仕入税額控除できないとなれば、顧客はどうなるでしょう? 

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