2021.03.15
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組織の進化は人の成長にあり

裵英洙のマネジメントのちから~人事で悩むあなたへ~
vol.6

 

編集部より

医師で、医療機関コンサルティング会社、ハイズ株式会社代表の裵 英洙(ハイエイシュ)さんの連載「マネジメントのちから~人事で悩むあなたへ~」の第6回目。裵さんは勤務医時代に病院におけるマネジメントの必要性を痛感したことから、10年ほどの勤務医経験を経て、慶應義塾大学院経営管理研究科(慶應ビジネススクール)でMBA(経営学修士)を取得し、現在は各地の病院の経営アドバイザーとして活躍しています。病院経営で重要な「人事」を切り口に、組織マネジメントのポイントを毎月お伝えします。今回は、ハイズ株式会社コンサルタント、桑原沙耶さんによるコラムです。「医療機関」という組織を支える1人1人の「人」の存在は非常に重要です。人の成長は複数の人の関わりによって育まれることから、つまり、人事制度をどう構築するかが組織の成長に直結するといえるでしょう。また、桑原さんは人が育つ環境も整備される必要があるとし、そのための5つの視点についても解説されています。

 

執筆/桑原 沙耶(ハイズ株式会社 コンサルタント)

監修/裵 英洙

編集/メディカルサポネット編集部

組織の活性化に欠かせない人材育成とは?

「進歩のない組織で持ちこたえたものはない」フローレンス・ナイチンゲール(1820-1910)

(引用:時代を変えた科学者の名言 藤嶋昭[編著] [東京書籍])

 

ナイチンゲールはクリミア戦争に看護師として従軍し、負傷兵の死亡率の高さが病院内の不衛生から生じる「蔓延した感染症」によることを突き止め多大な貢献をしました。あれから100年以上が経ち、新たな感染症との戦いに向き合う現代の組織ははたして「持ちこたえられる進歩」を遂げて来たのでしょうか。

 

人が集まって組織は構成されます。医療機関では「人」が重要な資産であり、「人」を活かすための教育・研修が組織の発展には欠かせません。今回は組織を進化させる「人材育成」のポイントについてお伝えします。

 

 

  

人の成長を促す人事制度

誰かに認められたい、見ていて欲しいという感情は幼少期から変わらないものです。人は集団内で価値があると認められ、人に関与されることでその集団への帰属意識を高めるものです。そのため、職員を適正に評価し次の成長を促すような、公正で公平な人事制度は非常に重要です。

 

納得感のある人事制度を構築するためには、まず自院の経営理念や戦略に合わせ、どのような人材を求めるかを明確に定義することが必要です。【図1】のように、役職・等級と専門職によるマトリックスにして求める人物像をある程度細分化して定め、それぞれの役職×専門職のマス目ごとに求める役割や能力をなるべく測定可能な数値目標に翻訳することをおすすめします。

 

 

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