2020.04.10
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【第3回】ドラッグストアで手に入る睡眠改善薬

睡眠研究の権威・西野精治「現代の国民病・睡眠障害を考える」

睡眠障害に悩まされ、睡眠薬を活用する人も増えています。近年の睡眠薬の品質向上は目覚ましく、細かな症状別に合わせたものを処方されるなど、選択肢が広がりました。医師からの処方ではなく、薬局やドラッグストアで「睡眠改善薬」を購入する場合もあるかもしれません。また、睡眠に効果のあるサプリメントなども容易に入手できるようになりました。スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)所長である西野精治先生が、それらの現状を教えてくれました。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム) 

 

市販の「睡眠改善薬」は抗ヒスタミン剤が中心

睡眠薬は、日本の場合、医師から処方してもらえないと服用できないものが大半です。一方で、不眠を解消する薬としては、薬局やドラッグストアなどで手に入る市販薬もあります。「睡眠改善薬」と記されている商品で、その多くは抗ヒスタミン剤になります。

ヒスタミンは覚醒系の物質のひとつで、ヒスタミンの受容体を抑制すると、副作用として眠気が出てきます。そのほかの副作用としては、注意力が低下したり、ぼーっとしたりすることも。抗ヒスタミン剤は、アレルギー治療薬や風邪薬にも含まれているので、飲んだことがある人も多いのではないでしょうか。

 

最近は、眠気とともに、注意力や集中力にも影響をおよぼすことも問題視されるようになったため、第二世代として、脳に移行しにくいタイプのものが開発されています。しかし、睡眠薬として使っている人たちからすると、第一世代より逆に眠気が出ないこともあって、第一世代の抗ヒスタミン剤がいまでも睡眠薬として販売されています。

 

 

自然な眠りをつくるサプリメントも流通

睡眠に効果のあるサプリメントとして、効果がある程度検証できているものを挙げるとしたら、アミノ酸のグリシンが成分の味の素の「グリナ」でしょう。グリシンは体内でも合成できるアミノ酸で、深部体温を下げる働きがあります。

グリシンを摂ったからといって睡眠薬服用時のように眠くなるわけではありませんが、知らない場所へ行って泊まるとか、いつもとちがう環境で寝ないといけないというときに、緊張感を緩め、体温調節を整えてくれる効果は期待できます。

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