2020.06.30
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看護実践を教えることと学ぶこと

そこが知りたい看護管理 vol.10

新型コロナウイルス感染症の拡大は、働き方だけでなく学び方にも大きな変化をもたらしています。オンライン授業も少しずつではありますが、生活の中に浸透してきているようです。しかし、「オンライン授業の実施」=「対面授業と同等のことが学べている」と理解するのは時期尚早かもしれません。今年は集合研修がなく、オンラインでの研修のみでいきなり現場での仕事が始まった新人看護職員も少なくありません。成人である我々は「問いかけ」による指導方法を用いることによって、教える側と学ぶ側どちらにも効果があると森田さんは話します。また、毎日の申し送り時間を活用し、一緒に考える「チャンス教育」の有効性にも触れ、学校ではない臨床で学び・教える場を作り出すことの大切さについても教えてくださっています。

執筆・写真/森田 夏代
編集・構成/メディカルサポネット編集部

そこが知りたい看護管理 森田夏代さん メディカルサポネット マイナビ 

  

「新しい生活様式」がスタートし、少しずつ日常が戻り始めたころでしょうか。巷では3密を避け効率化を図り在宅ワークが一般化した職場もあるようです。先日、何気なく読んだコラムに「新しい生活様式が始まり、リモートワークだけで数か月過ごした新入社員が出社し、大学1年生が通学し始めた今、この数か月を取り戻すかのように勢いをもって指導・教育をするのは誤った選択である。同時に、在宅で教えたから知っている・できるはずということはないことを念頭において欲しい」という文章が目に留まりました。

冷静に考えれば「確かにね」と思うことですが、ともすれば「在宅やwebで教えたのにわからないの?!」と口から出てしまいそうな予感がします。4月入職の看護職は、入社式も集合オリエンテーションもなく外来や病棟という現場に放り出されてしまいました。大切な環境に慣れる・人に慣れるための時間の確保と援助ができないまま新入職者を現場に預けたように思います。私自身の「ついうっかり」を防止する意味でも、今回は臨床での「教えることと学ぶこと」についてお話ししてみようと思います。

  

◆模倣から始まり、学問となった看護教育

  

看護教育の歴史は長く、小学校教育の方法論を模倣することから始まりました。そして、看護師の教育も「先輩の看護を見て盗む」ことで成長していく「模倣から学ぶ」教育の時代からスタートしました。その後、看護を実践の科学という学問として捉え、論理的系統立てて教育をすることや、実践を言葉で伝える(書き記す)ことでデータを蓄積して体系化することが進み、学問としての看護教育学となりました。
 
そして現在は、様々なマニュアルや病院看護管理者のマネジメントラダーなどの形になっています。そして、情報社会の今は簡単に知りたい情報を得ることが可能となっていますが「今日解決したいことがマニュアルや論文になっていない。検索しても出てこない」と感じることも多いと思います。それは、看護が日々、時間と共に変化していることで情報として根拠をもって表現されることにタイムラグが生じているからなのです。

 

◆“問いかけ”がもたらす成人教育の効果

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