2021.03.24
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「新卒訪問看護師」を支える教育システムとは?【前編】

~訪問看護をファーストキャリアにした新卒看護師に聞く成長の軌跡~
編集部より

「訪問看護はベテランナースにしかできない」という考えは根強く、若手看護師にとってはハードルが高い業界の1つとなっています。在宅医療の需要の高まりや、訪問看護師の絶対数の不足、年齢層の高さといった理由から、若い世代における訪問看護の担い手を増やすことは国としての課題ともいえます。ケアプロ訪問看護ステーション東京(中野区・足立区)は、教育システムを充実させながら新卒を含めた若手看護師を積極的に採用してきました。【前編】では、入職して1年目の豊田美和子さんに「新卒で訪問看護」を選んだ理由や仕事の様子について、伺いました。

  

取材・文/河村 武志(ナレッジリング)

撮影/和知 明(株式会社BrightEN photo)

編集/メディカルサポネット編集部

    

「ケアプロなら」と訪問看護の世界に飛び込めた

医学系出版社で雑誌編集者として働いていた私にとって大きな転機となったのが、医療的ケア児である第3子の出産でした。病院の医療ソーシャルワーカーや他の医療的ケア児の親からは「その状況で働いているママなんていない」と言われて戸惑いましたが、わが家を担当してくれた訪問看護師の方が「絶対に復帰させてあげるから!」と力強くサポートしてくださったおかげで、育児と仕事の両立を実現することができました。

 

 

そうした経緯から「私も地域で医療を必要としている人たちを支えたい」という思いが芽生え、聖路加国際大学看護学部看護学科の学士3年次編入コース(囲み参照)へ進みました。卒業後は訪問看護の世界で貢献したいと思っていたのですが、誰に相談しても「病院で経験を積んでからのほうがいい」とアドバイスされることがほとんど。「やはり新卒で訪問看護をやるなんて無謀なのだろうか……」と悩みました。

 

そうしたとき、大学の先生から勧めていただいたのがケアプロでした。実は、聖路加国際大学とケアプロは「きらきら訪問ナース研究会」という団体を共同で運営しており、その関係で私も新卒訪問看護師の育成・普及に関するイベントに参加したことがあったのです。また、医療的ケア児の親の会でケアプロのスタッフと出会い、「豊田さんはうちの社風に合っていると思う」と言われたことも心に残っていました。

 

さっそくケアプロの説明会とインターンシップに参加したところ、新卒で入職した訪問看護師とお話しする機会がありました。私がめざす道で活躍しているロールモデルが見つかり、私も後に続くことを決意。念のため、他のいくつかの訪問看護ステーションを見学しましたが、やはりケアプロを選ぶことにしました。新卒看護師を丁寧に育成してくれる会社としての姿勢はもちろん、先輩看護師たちが常に前向きな声かけをしてくれるなど職場の雰囲気が良いこと、組織がしっかりとしていて突発的な出来事にも対応しやすいことなどにも魅かれたからです。

 

 

不安を抱え込まず「1人前」に成長できる教育制度

入職後は、先輩看護師たちから想像以上に手厚いサポートがあり、安心感を持って現場に入っていくことができました。十分なOJT(同行訪問を含む)の期間が設けられており、最初は見学だけ、次はバイタルサイン測定、その次は吸引……というように、少しずつ先輩からケアを引き継いでいくイメージです。私の場合は、入職から約3か月で最初の利用者さんの単独訪問が許され、その後は1か月当たり1~2人の利用者さんが同行から単独訪問に切り替わっていくというペースでした。

 

現在は、9時に出社して朝礼ミーティングと申し送りをした後、1日3~4件の訪問を担当することが多いです。私は家庭の事情で終業が16時と早く、残業もできないので、スマートフォンを使って外出先で記録業務の一部を行うなど、効率良く動くことを意識しています。

 

生活に寄り添った看護ケアを実践する中で心からの笑顔を見られることが、この仕事の一番の魅力ですね。また、私は医療的ケア児の母親なので、家族の介護負担を軽減することの意義を人一倍感じています。利用者さんのご家族から「プロが来てくれて安心です」「本人もいきいきとしてきました」といった言葉をかけていただいたとき、大きな喜びを感じます。

 

 

私の周囲にも、「訪問看護に興味はあるけれど、新卒で行くのはちょっと……」とためらっている看護学生がたくさんいました。しかし、「病気や障害を抱えても、自宅で満足できる生活を送りたい」と願う方は少なくありませんし、1人の利用者さんと長期的に関わって「生活の中にある医療」を提供することには、他では得られないようなやりがいがあるはずです。そして、充実した教育制度、不安や疑問をすぐに相談できる体制が整っているなら、新卒でも無理なく訪問看護師として成長できることを実感しています。

 

教育システム構築によって新卒訪問看護師の育成を可能にしたお話を伺う【後編】はこちらから

聖路加国際大学看護学部看護学科の学士3年次編入コースとは?

他の専門で学士号を取得した人や、すでに他の職業に就いている人を対象にした2年制の学士編入コースで、2017年に開設された。卒業すれば2年という比較的短い期間で正看護師になることができる(国家試験の合格が前提)。2年間で十分な教育効果をもたらすため、専門科目の理論と演習、実習が短時間で連動するように配置されるなど、カリキュラムが工夫されている。また、成人教育の特徴を生かして、学生が主体的に学ぶアクティブ・ラーニングが取り入れられている。詳細は聖路加国際大学のホームページでご確認ください。http://university.luke.ac.jp/2nen-de-nurse/

ケアプロ訪問看護ステーション東京 足立ステーション

ケアプロ訪問看護ステーション東京
足立ステーション

事業所番号:1361390048
所在地:〒121-0815 東京都足立区島根3-5-8 コーソカラオケ 201
最寄り駅:東武スカイツリーライン 西新井駅 徒歩5分
URL:https://carepro.co.jp/zaitaku/
TEL:03-5851-8809
FAX:03-5856-5233

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