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黒田ちはる「患者さんのため、自分のため!おさえておきたい『お金』のコト」

シゴトークLive イベントレポート 2020.08.20配信

今回のシゴトークLiveは「看護師FP(フィナンシャルプランナー)」の肩書きを持つ黒田ちはるさんがゲスト。看護師としてがん看護に携わった際、入院費や当面の生活費など、経済面での悩みが患者やその家族の心身にさらなる負担をかけているという現状に直面。その経験を活かし、看護師FPとしての活動を開始しました。
現在は医療機関でがん患者専門の家計相談のほか、講演活動やテレビ出演など幅広く活動されています。今回はそんなバックグラウンドを持つ黒田さんから「お金」をテーマに、社会人として知っておきたい給与明細の見方から、医療従事者として知るべき患者さんのお金の悩みや制度についてわかりやすくお話いただきました。患者さんの悩みに寄り添った、よりよい看護に繋がるヒントを見つけてください。

編集:シゴトークLive編集部 北村岳大

シゴトークLiveとは?

シゴトークLiveは、株式会社マイナビと株式会社Tenxiaが共同運営する、医療・介護・保育業界で働くみなさんへ明日からの仕事に役立つ情報をお届けする動画コンテンツです。各業界の専門家によるセミナーや対談、お役立ち情報を配信しています。

Profile 黒田ちはる(Chiharu Kuroda)

黒田ちはるFP事務所代表。NPO法人がんと暮らしを考える会相談員。CFP®1級ファイナンシャル・プランニング技能士、看護師。医療機関などでがん患者専門の家計相談のほか、医療機関や企業での講演、テレビでのコメンテーター、FPの相談員育成にも力を入れている。著書『がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵』(日経メディカル開発)。

 

 

看護師だからこそ知っておきたいお金の運用法

 

今回の動画収録イベントは2部構成。前半の動画では「看護師さん自身のお金」のお話、後半の動画では「患者さんの悩み」をテーマに、看護師さんが知っておくと良い制度やお金にまつわる知識について丁寧で分かりやすいお話が展開された。

 

黒田さんは現在、看護師FP(フィナンシャルプランナー)として医療機関や企業での講演やテレビでのコメンテーターなど幅広く活動している。そもそも黒田さんがFPになったのは、看護師時代に受け持った1人暮らしの膵臓がんの患者さんがきっかけだった。病魔による身体の痛みは薬によって緩和できても、今後の生活やお金の悩みを緩和することはできなかったのだ。

 

「看護師としてどこまでお金の悩みに踏み込んでよいのかな」——そんなモヤモヤを抱えて過ごしていたある日、FPという資格があることを知る。ちょうど結婚をした頃のことだ。これからの人生に必要なお金について考えていたタイミングでもあった。最初は自分のために始めたFPの勉強だったが、学べば学ぶほど「この情報はあの患者さんにも教えてあげたかったな」。これまでに出会った患者さんの顔が、次々に思い浮かんだ。FPを取得後、2016年に全国初の看護師経験のあるがん患者専門の家計相談事務所を開設。現在は、全国のがん患者さんのご家族からの相談業務と、所属しているNPO法人を介しての相談業務を中心に活動している。

 

前半の動画のテーマは「看護師自身のお金」にまつわる話。同世代の女性にくらべると収入も良く、リスク管理にも関心が高い傾向がある看護師は、本当に必要かどうかも分からない生命保険やリスクもある金融商品のセールスのターゲットにされやすいという。そんなありがたくないターゲットにならないためにも押さえておきたい知識や、看護師だからこそ知っておきたいお金の運用法について、失敗例も交えて具体的に指南。

とりわけ、教育費や老後の資金を踏まえた「マイホームの正しい買い方」についてのアドバイスは、住宅ローンを組む前に是非とも押さえておきたい情報だ。さまざまな事例に即して人生設計にかかわるお金の話が語られるが、黒田さんが挙げる事例にご自身の状況をあてはめてシミュレーションしてほしい。

 

 

患者さんへの適切な情報提供は「社会面の緩和ケア」になりうる

 

後半の動画は「患者さんのお金の悩み」編だ。看護師として働いていると、患者さんから「治療費どのくらいかかりますか?」と聞かれることもあるだろう。そんなとき、看護師は患者さんのお金の悩みに関してどこまで踏み込むべきだろうか。「聞いてあげたいけど、忙しくて時間がない」「すぐに退院してしまうので、話す時間もない」「お金のことを話す自信がない」という方も少なくないだろう。

 

とはいえ患者さんやそのご家族からすると、お金や生活の心配を相談できる看護師さんは心が打ち解けている証拠。そんなとき、看護師は、業務の負担にならない適度な情報提供をしたうえで、患者さんが相談できる適切な相談先に繋げてあげることが大切だと黒田さんは語る。

 

がんなどの重病をかかえた多くの患者さんは、身体的苦痛だけでなく、「住宅ローンを払えるだろうか?」「子供の教育費をどうしたらよいのか?」「仕事はどうなってしまうのか?」といった深刻な〈社会的苦痛〉にも襲われてしまう。「家族に迷惑をかけてまで治療する意味はあるのか?」といったところまで思い詰めてしまう患者さんも少なくない。患者さんが感じている辛さは、身体的な苦痛だけでなく、家計の悩みが大きいのだ。そんなときこそ、患者さんに一番身近な看護師が生活の不安を予測して情報提供することが「〈社会的苦痛〉の緩和ケア」につながると黒田さんは説く。お金の悩みが解決されることにより、結果的には身体にも良い影響を及ぼす可能性もあるのだ。

 

40代の働き盛りの会社員が肺がんと診断された場合、家計はどのように変化するのか?実際の事例を交えて説明されるほか、高額療養費や傷病手当金の実情についても丁寧に語られる。看護師にしかできない情報提供は何か?なにかと避けて通りがちなお金に関するトピックスだが、患者さんのために、そして自分自身のためにも、これを機に動画本編をぜひご視聴いただきたい。 

 

 

こちらの放送は、「カンゴトーク」「カイゴトーク」アプリのほか、YouTubeでも全篇をご覧いただけます。イベントの模様をぜひお楽しみください。

【シゴトークアプリのダウンロード】URL=https://mynavi-agent.jp/app/m/?adgroup=ms_eventreport

【YouTube版 前編】URL=https://www.youtube.com/watch?v=7dZpKAkOvyQ

【YouTube版 後編】URL=https://www.youtube.com/watch?v=w5mPctFkN_M

 

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