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上村久子「事例から学ぶ医療・介護従事者のコミュニケーション術」

シゴトークLive イベントレポート 2020.08.02配信

まだまだ予断を許さない新型コロナウイルス。これまで経験したことのないストレスにさらされる中で、医療や介護の現場でもミスコミュニケーションが発生しかねません。同僚への接し方や後輩への指導の仕方に迷っている方も多いはず。そんな状況下でとりわけ大切になるのが「モチベーション管理」です。
今回は看護師としての経験も持ちながら、現在は病院経営アドバイザーとして人材育成や看護マネジメントで全国を奔走する上村久子さんをお迎えし、具体事例を交えた「医療従事者のコミュニケーション術」についてお話しいただきました。命を預かる医療現場においても「たのしい」って大事、と語る上村さんのポジティブなオーラに包まれたシゴトークLiveの様子をお伝えします。

編集:シゴトークLive編集部 北村岳大

シゴトークLiveとは?

シゴトークLiveは、株式会社マイナビと株式会社Tenxiaが共同運営する、医療・介護・保育業界で働くみなさんへ明日からの仕事に役立つ情報をお届けする動画コンテンツです。各業界の専門家によるセミナーや対談、お役立ち情報を配信しています。

Profile 上村久子(Hisako Uemura)

株式会社メディフローラ代表取締役。病院経営アドバイザー、看護師、保健師、心理相談員。専門は人材育成、院内データを活用した病院経営、看護マネジメント、病院・介護系に特化したチームビルディング。照林社「エキスパートナース」「プチナース」、日総研出版「看護主任」「真・介護キャリア」「ナースマネージャー」をはじめとする雑誌連載の他、さまざまな大学・企業等で講演実績多数。著書に『深掘り!重症度、医療・看護必要度データ分析の活用・改善』(日総研出版)。


 

 

思い描いていたイメージとのギャップに悩んだ看護師時代

 

「白衣の天使みたいになりたい!」と夢をいだいて、看護師・保健師免許取得後に大学病院に就職した上村さん。ところが実際に看護現場に入って見聞きしたのは、医師や同僚への悪口をはじめ、あまり聞きたくないような数々の陰口……。「あれ、おかしいな、白衣の天使が使命感をもって働いているものと思っていたのに」。思い描いていた姿とのあまりのギャップにとまどいを感じた上村さんだが、働き続けるうちに感じはじめたのは、忙しさのあまり殺伐とした空気が支配していた当時の職場環境のなかでは、そもそも自分のキャリアを振り返ったり、将来のキャリアをポジティブに思い描くような機会を持つ心の余裕もなかった、ということ。

 

このことに問題意識を持つようになった上村さんは病院を退職した後、大学院への進学を決意し、組織学を学ぶことになる。その後、経営コンサル会社を経て、現在、独立して8年目。医療機関や介護施設を中心に、「組織運営の改善」をテーマにコンサルタントとして北海道から沖縄まで全国を駆け巡っている。

 

上村さんのもう一つのテーマが「経営改善」だ。今年8月には『データを深堀り! 重症度、医療・看護必要度 データ分析と病院改善』を上梓。看護必要度の専門書となると、どうしても評価の正しい仕方を論じたものが主流だが、今回刊行した同書は「病院が蓄積しているデータという〈宝〉をどうしたら経営に活かせるのか?」という観点からまとめられたものだ。実は上村さん、看護必要度が診療報酬に組み入れられるよりも以前からこのテーマを研究し続けていた。約15年にわたっての経験と知恵を詰め込んだ本だという。急性期病院に勤める方には特におすすめの一冊だ。

 

「愉しむ」ことが長期的な幸せとモチベーションにつながる

 

今回のシゴトークLIVEでは、「何が起きても揺るがない元気な組織であり続けるためのコミュニケーション術」をテーマに語っていただいた。

上村さん自身が働くうえで特に大切にしていることは「たのしむ」ことだと言う。ある病院で研修講師を務めたときのこと。「どうせだったら仕事をたのしみましょうよ!」と問いかけたところ、「命を預かる場所で楽しいとは何事だ!」と叱責されてしまったことがある。でも、ほんとうに上村さんが伝えたかったことは、「楽しむ」というよりも「愉しむ」ということ。

 

実際問題、仕事においては辛いことや大変なことの方が多いかもしれない。でも仕事が終わった後の達成感は何ものにも代えがたい(仕事を終えたあとのビールのおいしさ!)。真に「愉しむ」ためには、仕事のなかで自分自身が何に対して「愉しめる」かを探し出すことが大切だと上村さんは語る。ハーツバーグの動機づけ理論も交えて説明される「愉しむ」ための秘訣についてはぜひ動画本編で確認していただきたい。

後半の動画では、組織のモチベーションを下げてしまう上司の言動パターンや、モチベーションの低い職員を劇的に変化させるためのワークショップのやり方について語られる。とりわけ印象に残るのは、コミュニケーションの「質」と「量」についての話だ。とくにコミュニケーションの「質」の低下は、すぐに職場での信頼悪化や不満の爆発を招いてしまう。場当たり的な対応ではなく、「普段から職場のミッションやビジョンを考える時間をとる」という日々の積み重ねこそが大切だと上村さんは説く。

先輩や同僚とのコミュニケーションに悩む若い方だけでなく、管理職の方々にもぜひご視聴いただきたい動画だ。職場での良質なコミュニケーションのためのヒントを是非多くの方につかんでほしい。

 

 

 

こちらの放送は、「カンゴトーク」「カイゴトーク」アプリのほか、YouTubeでも全篇をご覧いただけます。イベントの模様をぜひお楽しみください。

【シゴトークアプリのダウンロード】URL=https://mynavi-agent.jp/app/m/?adgroup=ms_eventreport

【YouTube版 前編】URL=https://www.youtube.com/watch?v=43yN9rsBXdU

【YouTube版 後編】URL=https://www.youtube.com/watch?v=15ETqvaPAxg

 

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